公明党の斉藤鉄夫幹事長と青年委員会の矢倉克夫委員長(参院議員)らは11日、首相官邸で安倍晋三首相と会い、中間所得層への力強い支援や育休給付金の拡充などを盛り込んだ提言「青年政策2020」を手渡した。安倍首相は「幅広い分野で提言をまとめていただいた。しっかり受け止め、取り組みを進めていきたい」と応じた。党青年委の平木大作顧問(参院議員)、国重徹(衆院議員)、杉久武(参院議員)の両副委員長が同席した。
提言のポイント
- 民間賃貸住宅における家賃補助制度の創設
- 保育士を含め社会生活を支える人の賃金上昇
- テレワークを軸とした多様な働き方の推進
- 育休制度利用当初の1カ月間は給付率を賃金の100%に
- 若手研究者への生活費支援や研究費の重点化
- 行政手続きのオンライン化の早期実現
青年政策2020」は、党青年委が昨年末から対面やオンラインにより、全国で展開してきたユーストークミーティングで寄せられた1200人を超える若者の声を基に、政策として取りまとめた提言。矢倉委員長は「若者の声を政策推進の力に変え、(2021年度予算の)概算要求に反映させるなど、さまざまな施策で実行を」と訴えた。提言では、新型コロナウイルス感染症について「生活者の全てを被災者とする未曽有の危機」と指摘。行政の支援が行き渡らないことは、国民の間に不公平感を生み、社会を分断するとして「公正公平で分断のない社会の実現を政策の軸とすべき」と強調した。
特に、中間所得層が負担に見合った行政支援を実感できずにいると分析。所得の低い人への支援維持・充実に加え、中間所得層向けの対応強化策を求めた。具体的には、中間所得層の賃金増に取り組む企業に対する支援金・補助金の大幅拡充を要請。国と自治体が奨学金の返済を肩代わりする奨学金返還支援制度の対象拡大や、返済猶予・減額制度の周知徹底のほか、民間賃貸住宅における家賃補助制度の創設なども提案した。
ポストコロナ時代に向けた重点政策として、医療や介護、障がい福祉に加え保育なども含めた社会生活を支える人の賃金上昇を要望。育休制度利用の当初1カ月間の育休給付金について、賃金の67%となっている給付率を100%に引き上げる制度の導入を提唱した。また、コロナ禍を多様な働き方を推進する機会と捉え、テレワーク環境を整備することなどを盛り込んだ。
文化芸術、スポーツ分野や若手研究者への支援のほか、全国民が等しくデジタル技術を活用できる社会に向け、行政のオンライン化の早期実現などを求めた。
提言では、子育て支援などの対象外である単身世帯への対応強化を提案。若者が行政や政治に参加できる仕組みづくりや、核兵器のない世界に向けた取り組みの推進なども明記している。