ホンネトーク
Z世代の金子浩明さん、福田渚帆さん、原田曜平芝浦工業大学教授、河西宏一青年局長
河西局長 周りの人とどうやってコミュニケーションを取っていますか?
金子さん 大学の先生方は、飲み会が好きな人が多いんですけど、僕たちの世代はそこまで積極的ではないと思います。
福田さん 私も複数人での飲み会とかは苦手で……。
原田氏 この世代は、Z世代の中でもコロナ禍の影響を受けていて、本来だったら恋愛したり、友達と朝まで議論したりといった人間関係が、少し薄くなっているかもしれませんね。その代わり、ネットやSNS上での交流が盛んです。
河西局長 上の世代の人と“ギャップ”を感じることってありますか?
福田さん 私は70歳以上の方と接することが多いんですけど、前に「女性の一番の幸せは男性と結婚して専業主婦になることよ」と言われたことがあって、すごくびっくりして……。
原田氏 それは違和感を覚えますよね。ただ、その世代は、戦後の貧しかった時代を経験しているので、結婚が豊かさの象徴でもあったから、仕方ない側面もあるかなって思います。
金子さん 僕は大学の課題とか期限ギリギリに出しちゃうタイプなんですけど……。
原田氏 それって迷惑ですよ(笑)。
金子さん 気を付けます。それで、先生から叱られたことがあって。普段、上の世代の方からあまり叱られることがないから、すごくありがたかったです。
インフルエンサーの影響大
河西局長 皆さんは普段、情報をどうやって入手しますか?
福田さん 私はSNSからが多いですね。逆にテレビはあまり見ないです。そもそも家にテレビを置いてなくて……。私たちの間では、インフルエンサーの影響力が本当に大きいので、その人が行ってるお店に行ったり、その人が薦めるコスメを買ったりとか。
金子さん 僕も、旅行先でご飯食べる所を探すときも、とりあえず、インスタを見ます。
原田氏 今は中学生くらいで、初めての携帯電話でスマートフォンを持つ人が多いので、それが普通なんですよね。
金子さん 同世代との友人関係がドライになりがちで……。いろんな人と深い信頼関係をつくるにはどうすれば良いか、アドバイスをお願いします。
河西局長 なるべくホンネで話すことかな。そうすると、相手も「この人は自分を必要とし、信頼してくれてるんだな」と思ってくれるのでは。
原田氏 Z世代と上の世代の決定的な違いは、人間関係の数です。SNSがこれだけ当たり前になっているので、自分の世界に閉じこもるのではなく、気が合う相手を他で探す努力をしてみてはどうでしょうか。
福田さん 私はもうすぐ就職活動が始まりますが、上の世代の方が、私たちZ世代に求めていることって何ですか?
原田氏 長らく学生の就活を見てきて感じるのは、多くの企業は自社の社風に合いそうな人を採用する傾向にあります。でも、今の学生は「転職ありき」で入社する人も多いのでは。SNSではいろんな国の人ともつながれる時代。だから、大人にとって「都合の良い若者」が求められていますが、それに従う必要なんてないと思います。
政治に対して関心が低い?
河西局長 Z世代の皆さんは、政治に対してどのくらい関心を持っているのでしょうか。
福田さん 周りはほとんどないですね(笑)。選挙に行かない友人もたくさんいるように感じます。
金子さん 僕の周りには、自分で調べて政治に詳しい友人もいました。
原田氏 全体的に政治に対して無関心っていうのは間違いないと思います。一方、SNSなどは、全世代にとって身近ですが、主流はZ世代です。Z世代に響くメッセージを発信すれば、彼らが拡散してくれ、多くの世代に届くのではないでしょうか。
河西局長 なるほど! 私たちも若者の心をつかむ政策を追求していきます。
はらだ・ようへい
1977年東京生まれ。慶応義塾大学卒。「さとり世代」といった若者像を象徴する言葉を生み出した。本紙で2024年6月から同年9月まで連載した「世代間ギャップから見る『イマドキ』」が好評を博す。