公明党青年委員会が新たな政策提言へ議論
公明党青年委員会(委員長=矢倉克夫参院議員)は現在、政府への新たな提言となる「青年政策2022(仮称)」の策定に向けた議論を進めています。その項目の一つである若者の政治参加の促進について、公明党のこれまでの主張や取り組みを紹介するとともに、独立行政法人「国立青少年教育振興機構」の両角達平研究員に話を聞きました。
「青年政策2020」や衆院選重点政策(21年)で掲げた主な施策
●若者担当大臣の設置
●政府や地方自治体の審議会などに「若者枠」導入
●主権者教育の推進と充実
●生徒らが校則や学校行事などを話し合って決める「学校内民主主義」の実現
●インターネット投票の実現に向けた研究・検討
「担当大臣」の設置を
被選挙権年齢の引き下げも
公明党は長年にわたり18歳選挙権の導入を推進し、2016年に実現させるなど、若者の政治参加の促進に力を入れてきました。選挙での立候補が可能になる被選挙権年齢の引き下げについても同年以降、国政選挙の重点政策などで主張し続けています。
党青年委は20年、ユーストークミーティングなどから得た若者の声を基に「青年政策2020」を策定し、政府に提出。その中で「若者が行政や政治に自ら関わることができる社会」の実現を訴えました。
具体的には、政府や地方自治体が政策について意見を聞く審議会に若者を参加させ、その声を反映させる環境を整えるよう提案。若者政策を担当する大臣・部局を設置し、若者の代表者との意見交換を行うことも求めています。
また、主権者教育を充実させるために若者と首長や議員、議会と関わる機会を創出することなども要望。若者の投票率向上に向けては、大学や駅、大型商業施設などに共通投票所を設けることや、インターネット投票のあり方について検討するよう強調しています。
さらに、昨年10月に実施された衆院選の重点政策では、「青年政策2020」で掲げた施策に加えて、政府や地方自治体の審議会に「若者枠」を設けることや、生徒らが校則や学校行事などの内容を決めていく「学校内民主主義」の実現をめざすなどとしています。
党青年委が現在、議論している「青年政策2022(仮称)」でも、このような施策を盛り込むべく検討を進めています。
審議会メンバーを若い世代に
国立青少年教育振興機構研究員 両角達平氏に聞く
――若者政策を担当する大臣などを設ける場合の留意点は。
両角達平研究員 私が若者政策を研究しているスウェーデンには、若者・市民社会庁という政府機関がある。同庁の主な施策は①子ども・若者団体への助成金事業②若者を取り巻く状況の調査・研究③調査に基づく若者政策のフォローアップ④若者の状況を広く伝える研修――の四つだ。
若者を巡る課題に対し、領域横断的に取り組んでいくことになると思うが、若者が社会で影響力を発揮していくためには、労働環境の充実や住まいの確保、教育や子育て費用の無償化など、最低限の生活基盤の保障が必要だ。その上で、若者団体を財政的に支える間接的な支援が行政には求められる。
――国の若者政策に当事者の声を反映させるには。
両角 スウェーデンでは、若者団体の代表者たちが政府の審議会メンバーを構成し、議論しているのは基本的に若者だ。日本でも若者政策を議論する審議会などはメンバーを原則として若者とし、むしろ若者以外のメンバーを「大人枠」として限定する仕組みにしてはどうか。
――主権者教育の充実に必要な視点は。
両角 各地域で主権者教育をコーディネートできる超党派の団体があるといい。中立性が保たれれば、学校で生徒と政党が対話する場をつくることもできるだろう。
また、繰り返しになるが若者団体への支援が重要だ。若者団体とは、スポーツや趣味のサークル、政党青年部など、さまざまなものも含む。若者が団体に属し、民主的なコミュニケーションを経験することが、民主主義の土壌を耕す上で重要だ。それが主権者教育にもなる。