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AIが結婚へ“引き合わせ”

2023.06.14

コロナ禍でも年100組が成婚
お見合い成立増える
愛媛県

未婚化が深刻な問題となる中、結婚を望む男女をAI(人工知能)を活用して引き合わせるマッチング支援で成果を上げているのが愛媛県だ。政府も2021年度から交付金を拡充するなど、こうした取り組みを後押ししている。愛媛県の取り組みと成果を紹介するとともに、AIマッチングシステムを開発した国立情報学研究所の宇野毅明教授に話を聞いた。

男性の相談に乗る「愛結びサポーター」の近藤さん(左)=5月29日 松山市

愛媛県の公的機関「えひめ結婚支援センター」では、コロナ前、成婚するカップルが1カ月に10組のペースで誕生し、コロナ禍に入った20年以降も年間100組前後が成婚している。こうした成果を上げている大きな要因となっているのが、同センターが15年から導入したAIによるマッチングサービスだ。

センターでは08年の設立以降、男女の出会いの場をつくるイベント事業や、1対1の出会いをつくりお見合いをめざす事業を行ってきたが、なかなかお見合いが成立しない状況が続いていた。そこで、国立情報学研究所の宇野毅明教授らに依頼し、開発してもらった。

このサービスで、AIがお見合い候補を提示する「おすすめ」機能を使って申し込みを行うと、これまで13%だったお見合い実施率が29%に急増した。

ボランティアによる“世話焼き”が奏功

しかし、お見合いは“入り口”に過ぎない。結婚に至るまでの道のりは決して平たんではない。だからこそ、センターでは、交際を始めたカップルに、人生経験豊かなボランティア「愛結びサポーター」が世話を焼き、親身に支える体制を敷いている。

これまで約50組の成婚をお世話してきた愛結びサポーターの近藤由佳さんは「七夕やクリスマスといった節目にさりげなく連絡を取って、何か悩んでいることがないか聞いている」と語る。

この「えひめ方式」のAIマッチングシステムは全国に広がっており、愛媛県を含む21県に導入されている。

■政府が婚活支援を強化/公明推進

結婚を希望しているものの、「出会いがない」という男女は多い。国立社会保障・人口問題研究所が21年に実施した調査では、18歳から34歳の未婚者のうち、「いずれ結婚するつもり」との答えは、男女共に8割を超える。そのうち、独身でいる理由として、25歳以上で最多だったのが「適当な相手にまだめぐり会わないから」(男性43%、女性48%)だった。

公明党は、青年委員会が16年に行った政策アンケート「VOICE ACTION(ボイス・アクション)」の主要政策に「婚活や新婚世帯への支援」を掲げたほか、昨年11月発表の「子育て応援トータルプラン」でも結婚支援の拡充を訴えるなど、結婚を希望する若者への支援拡充に一貫して取り組んでいる。

公明党の推進で、政府は自治体による結婚支援を「地域少子化対策重点推進交付金」で後押ししており、21年度からはAIを活用した結婚支援の補助率を2分の1から3分の2に引き上げた。

さらに、今年度からは専門知識を持つ「結婚支援コンシェルジュ」の都道府県への配置を進め、自治体をサポートする。

国立情報学研究所 宇野毅明教授

先入観超えた出会い提供

私たちが開発したAIマッチングシステムを採用した愛媛県で、AIを使った場合のお見合い実施率が大きく増加した。

このシステムでは、パートナーに対する“こだわり”や先入観を超えた出会いを提供できる。婚活では、年収や年齢、学歴といった客観的な条件で絞り込むことが多いが、ここにこだわりすぎると、いつも同じような人ばかりとコンタクトを取るようになり、うまく相手が見つからなくなることもある。

このシステムでは、婚活サイト内での利用者の行動履歴などから、自分と似た価値観を持つ人が興味を持つ人、あるいはその人たちに興味を持つ人を推薦することで、年収や年齢などを考慮せずにお見合い候補を推薦する。このため、当初想定していなかったような相手と出会えている。

面白いのがAIが推薦するお見合い候補は、“自分ではなくコンピューターが選んでいる”という安心感があり、自分で相手を選ぶ勇気が持ちにくい人々の助けになっている点だ。いわゆる“奥手”と呼ばれる人々には勇気を持つきっかけになっているようだ。

このシステムは女性の利用も多く、一般に婚活においては、女性からのアプローチの方が男性からよりもカップルが成立しやすいという話もあり、お見合いの成立が増えているのであろう。

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