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青年の成長を支える「ユースワーカー」を全国に

2022.10.29

若者と社会つなぐ役割
交流や体験など幅広く支援

若者の居場所づくりや地域参加などの幅広い活動を通し、青年の成長を支える人材は「ユースワーカー」と呼ばれる。英国が発祥で、まだ日本では耳慣れないが、2023年度に設置予定のこども家庭庁を巡る議論で、子どもから大人へと成長過程にある若者と社会をつなぐ存在として注目されている。公明党が普及を訴えてきたユースワーカーの役割や、国内の事例を紹介する。
多くの若者は、家庭や学校、職場で過ごす時間が生活の大きな割合を占めている。しかし、それ以外の放課後や余暇の時間に、地域と接点を持ったり、安心できる場所で仲間と交流する機会があることは、成長や自立を促す上で貴重な体験となる。

欧州では普及

欧州諸国では、こうした「家庭・学校・職場」以外の場所での、若者の成長を支援する取り組みを「ユースワーク」と位置付け、それを専門的に担う人を「ユースワーカー」などと称して広く普及が進んでいる。一部で国家資格化している国もあり、若者への居場所の提供や地域社会との橋渡しなどをサポートする。

日本では、ユースワーカーの法的な定義はないが、一部自治体で、必要な知識を身に付ける養成研修が行われたり、活躍が目立ち始めた。日本福祉大学の両角達平講師は「従来の若者施策は、ニートやひきこもりの就労支援などの個別課題への対応が重視されてきたが、支援対象外の若者も多かった。一方、ユースワーカーの取り組みは、ユニバーサル(普遍的)に若者と関わり応援するもの。日本でも必要性は高い」と指摘する。

静岡・菊川市 “高校生まちづくり”を応援

ユースワーカーと自治体が連携した事業は各地で始まっている。例えば静岡県菊川市が21年度から開く、高校生のアイデアを地域づくりに生かす「きくがわ高校生まちづくりスクール」だ。

同スクールは「地域活性化」「多文化の共生」など高校生自身が関心のある地域課題を見つけ、関係者に聞き取り調査をしたり、解決へ行動に移していくプロジェクト。同市市民協働センターを拠点に、市内外の17人の高校生が参加する。

スクールの講座(全5回)で、ユースワーカーとして講師を務めるのは、NPO法人「わかもののまち」の土肥潤也事務局長。土肥氏は、大人と比べて経験の浅い高校生にも「まずはやってみよう」と行動を促す。時に思い込みがある場合にも「それは本当かな」と気付きのヒントを示しながら具体化を支える。

まちづくりの一例として進むのが、菊川駅前の空き店舗を活用した喫茶イベント。企画に携わる男子高校生は「『自分たちにできることは少ない』と思っていたが、参加してみたら、自分たちが動けば地域が変わるかも、と思えるようになった」と話す。土肥氏は「失敗してもいい。高校生が自分で動き、経験することが重要。それが社会・政治への関心を高める」と語る。

札幌市 居場所を提供、相談にも対応

札幌市若者支援施設「ユースプラス」(市内5カ所に整備)では、施設職員をユースワーカーと定め、若者への居場所提供や相談支援などを行う。

20年6月からは市内に一軒家を借り、子ども・若者の居場所「いとこんち」を開設。ヤングケアラーを含め困難を抱える若者らが安心して過ごせるよう、ユースワーカーのスタッフが“親戚”のように接する。

いとこんちの松田考・家長は「ユースワーカーは学校とは違う立場から、若者と関わり続けることができる。学校ではない場面だからこそ打ち明けられる悩みもあり、必要な支援につなげられることもある」と語る。

兵庫・尼崎市 声を集め行政へ政策提言

兵庫県尼崎市の市立ユース交流センターは、同センター職員がユースワーカーとして、若者の声を集め、若者の力でまちを変えるための「ユースカウンシル(若者会議)」に取り組む。

同会議は14~29歳までの若者が参加。若者が課題に感じる中学校の校則見直しや市内へのスケートボードパークの設立などをめざし、市当局に政策提言を行う。同センターの片岡一樹センター長は「ユースワーカーは若者の意見を尊重し、その声を行政につないだり、大人に伝わる工夫を若者と一緒に考えたりしている」と話す。

公明、活用の推進訴え

ユースワーカーについて公明党は5月27日、こども家庭庁の設置に向けた政府への提言の中で、子どもの意見を政策に反映させる取り組みとして活用を主張。国会質問で河西宏一衆院議員が「子どもや若者の意見を聞く重要な存在」などと有用性を訴えてきた。

札幌市のユースプラスや尼崎市のユース交流センターの取り組みも、地元の市議会公明党が力強く後押し。このうち、尼崎市のユースカウンシル事業は、8月に中野洋昌衆院議員【写真(左端)】が現地を視察している。

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