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ネット上の中傷 根絶を

2022.03.31

党青年委の取り組みを安江副委員長に聞く

政府は8日の閣議で、インターネット上の誹謗中傷を抑止するための「侮辱罪」厳罰化を盛り込んだ刑法など関連法の改正案を決定しました。ネット上の誹謗中傷対策を巡る公明党青年委員会(委員長=矢倉克夫参院議員)の取り組みについて、安江伸夫副委員長(参院議員)に聞きました。

党青年委の申し入れ

①2020年8月「青年政策2020」
②同12月「『青年の声』に基づく政策提言」
③21年6月「VA2021に関する青年政策」

「侮辱罪」厳罰化など法整備へ

――政府は侮辱罪を厳罰化する刑法など関連法の改正案を閣議決定しました。

安江伸夫副委員長 侮辱罪の現行法定刑は「拘留または科料」ですが、改正案はこれを「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」とします。公訴時効も現行の1年から3年に延びます。2020年5月には、ネットで中傷を受けた女性プロレスラーが自ら命を絶つ問題も起きており、ネット上の名誉毀損は深刻化しています。

「若者の声」受け政府に提言

――党青年委の取り組みについて教えてください。

安江 党青年委はユーストークミーティングに積極的に取り組み、若者の声に耳を傾けてきました。その中でネット上の誹謗中傷に対する若者の関心は非常に高く、対策を求める声を多数いただきました。

そこで、党青年委としては3回にわたり、政府に対策を申し入れてきました。初めに20年8月、「青年政策2020」を提出しました。その中で「誹謗中傷・権利侵害情報に対する適切な削除の促進」「発信者情報開示請求の実効性の向上」「情報モラル教育や人権意識の普及啓発」「刑事罰の在り方の検討」などを訴えました。

これに先立ち、党としても同年6月に「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策検討プロジェクトチーム」(座長=国重徹衆院議員)が政府に対策を申し入れました。

――重ねての提言を受けて同年9月、総務省は「政策パッケージ」を打ち出しました。

安江 パッケージでは、プロバイダー責任制限法に基づく発信者開示情報に、電話番号を追加するよう省令を改正しました。電話事業者に迅速に発信者情報を照会できるようにし、悪質投稿者を特定しやすくしました。

VA(ボイス・アクション)で掲げた対策、全て前進

当時の菅首相(中央右)に政策提言を手渡す矢倉青年委員長(左隣)ら=2021年6月 首相官邸

――その後も党青年委は取り組みを続けています。

安江 2回目として党青年委は同年12月にも、青年政治意識調査の結果などを受け、「『青年の声』に基づく政策提言」を政府に申し入れました。その中で侮辱罪をはじめとする刑事罰の見直しなどを求めました。

さらに、21年に実施した「VOICE ACTION(ボイス・アクション=VA)2021」では、項目の一つに「ネットの誹謗・中傷の根絶に向けた対策強化」を掲げ、賛同の声が寄せられました。その声を基にした提言も同年6月、菅義偉首相(当時)に届けました。

――VA2021では、「心ない書き込みの削除や投稿者の情報の開示」「情報モラル教育の充実」「刑事罰の見直し」を訴えていました。

安江 今回、閣議決定された侮辱罪の厳罰化により、VAで掲げていた対策が全て前進しました。若者の力強い声が後押しとなって、政治を動かすことができました。

――今後の取り組みについては。

安江 公明党のリードで21年4月、改正プロバイダー責任制限法が成立しました。同法により、会員制交流サイト(SNS)などに中傷の書き込みをした投稿者を特定するのに、必要な裁判手続きが簡素化されます。同法は今年秋までに施行されますが、新たな制度が円滑に運用されるよう、注視したいと思います。

――改めて決意を。

安江 誹謗中傷対策は前進していますが、まだ途上にあります。ネット上ではフェイクニュースなど、新たな課題も生じています。党青年委はこれからも、憲法上の「表現の自由」や「通信の秘密」に配慮しながら、被害者の人権を守る施策の充実に取り組みます。

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