国交省がガイドライン作成
教育啓発の具体例を提示
2020年に成立した改正バリアフリー法では、「心のバリアフリー」を推進するための「教育啓発特定事業」が法律上に位置付けられました。同事業は、市町村が定めるバリアフリー基本構想の一環として実施されるものです。
国交省が作成した「教育啓発特定事業の実施に関するガイドライン」は、市町村が同事業を継続的、計画的に実施するための具体例をマニュアルとして示したものです。
同ガイドラインでは「心のバリアフリー」について、「様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと」と説明。障がいのある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解する重要性を強調しています。
同ガイドラインでは、教育啓発特定事業を進める上で、実施主体となる市町村などが障がい当事者団体や学校といった関係者と連携し、計画的かつ継続的に取り組みを進めるよう求めています。
その上で、実施が想定される四つの取り組みを具体的に取り上げています。
一つ目の「バリアフリー教室」では、疑似体験の事例などを紹介。二つの目の「まち歩き点検等」では、障がい当事者と一緒に街を歩くなどしてバリアーを体験し、問題点を点検・共有する取り組みについて説明しています。三つ目の「シンポジウム・セミナー」では、参加対象者やテーマ設定、実施形式について事例を掲載し、四つ目の「適正利用等の広報啓発」では、バリアフリートイレなどの適正な利用を促すポスター例などを紹介しています。
公明、法整備でソフト面も強化
公明党は野党時代の1994年に「バリアフリー型のまちづくり」を重点政策に掲げ、全国各地で総点検や調査を実施し、対策を一貫してリードしてきました。与党になって間もない2000年には、「交通バリアフリー法」の制定を実現。同法によって国や自治体が関与・支援して駅の改良などを進める法的な枠組みが整いました。これにより、エレベーターや障がい者用トイレの設置、点字ブロック敷設など公共交通機関のバリアフリーが加速しました。
06年には、病院など多くの人が集まる場所のバリアフリー化を進めるハートビル法と交通バリアフリー法を統合した「新バリアフリー法」が成立。18年と20年に改正され、「心のバリアフリー」推進など、ソフト面の強化も盛り込まれました。
VAの声受け、施策充実へ
党青年副委員長 杉久武 参院議員
今年実施した党青年委員会の政策アンケート「VOICE ACTION(ボイス・アクション=VA)2022」では、合計23万を超える“イイネ!”をいただき、政策の柱の一つである「“ありのまま”が輝く多様な社会に」にも多くの賛同の声が寄せられました。
誰もが障がいを負うリスクがあり、高齢化による身体能力の低下は避けられません。バリアフリーの推進は、全ての人にとって必要な施策です。
今年6月に作成したVA2022を基にした青年政策の提言には、「心のバリアフリー」施策の推進を盛り込み、岸田文雄首相に申し入れました。誰一人取り残さないというSDGs(持続可能な開発目標)の理念にのっとり、誰もが活躍できるユニバーサル社会の実現へ施策の拡充に取り組みます。
バリアフリー基本構想
駅周辺をはじめ、高齢者や障がい者らが利用する公共施設などの集積地域でバリアフリー化を進めるため、市町村が作成する計画。21年度末時点で316市町村が作成している。