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デジタル社会に向けた挑戦

2020 . 11 . 11
青年委員会顧問 平木大作(参議院議員)
▼新型コロナの感染拡大は、日本に「デジタル化」の遅れの現実を突きつけた。
▼「誰ひとり取り残されない」デジタル化で、便利で、豊かな社会をめざす。
▼地域課題解決にもデジタル化は有効。実現のカギは公明党のネットワーク力。

1、デジタル後進国・日本

 

世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス。

 

コロナ禍は私たちの暮らしを大きく変えるとともに、

日本の抱える課題を浮き彫りにしました。

 

中でも「デジタル化」の遅れは深刻です。

 

例えば、公明党が実現した、

一人一律10万円の特別定額給付金。

 

オンライン申請の導入で、“密”を避けつつ、

迅速な給付をめざすことになっていましたが、

結果として

郵送申請よりも給付が遅滞する自治体が続出しました。

 

これは、

申請情報と住民基本台帳のデータが紐付いておらず、

全て手作業で照合したことが主な要因です。

 

また、このオンライン申請を巡っては、

申請時に必要なマイナンバーカードの

暗証番号を忘れてしまい、

再設定するために役所に住民が殺到。

窓口で“密”が発生するという事態も…。

 

他にも、PCR検査を担った保健所では、

結果報告がファクスで行われたことから、

集計での間違い、遅延が多発。

雇用調整助成金のために急遽構築された

申請システムでは、運用初日に個人情報が流出しました。

 

また、教育現場でも、

タブレット端末や通信環境の未整備、

オンライン授業のノウハウの不足が露呈するなど、

「デジタル化」の遅れを痛感する事例は枚挙にいとまがありません。

 

では、日本の民間企業の実情はどうか。

 

スイスのビジネススクールIMDが発表する

「世界デジタル競争力ランキング」(2020年)では、

世界63カ国・地域の中で、日本は27位。

日本政府と大差ない現実が浮き彫りになっています。

 

つまり、日本のデジタル化は、官民問わず、

崖っぷちと言って良い状況なのです。

 

 

2、公明党が若者の声、政府に届ける

 

公明党青年委員会としても、

こうした不満の声を数多く受けていました。

 

昨年末から全国で展開してきた

「ユーストークミーティング」

新型コロナウイルスの感染が広がる中でも、

特に、5月の大型連休を中心に、

インターネットを活用して継続していたのです。

5月中旬までに、全都道府県で100回以上、

1100人を超える若者と直接対話を重ねてきました。

 

また、若者の声を吸い上げるため、

ツイッターなどで政策アンケート

「VOICE ACTION(ボイス・アクション)」を実施。

4月下旬から5月上旬の1週間余で、

1万1975件の回答が寄せられました。

 

多くの若者から、

行政のオンライン化の早期実現を望む声がありました。

ただ漠然と聞いた声ではなく、

明確なカタチとなって表すことが政治、

社会を動かす大きな力になります。

 

そこで、青年委員会として政策を練り上げていた

「青年政策2020」のうち、

新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応した

37項目を抽出。

 

特にニーズが高い項目として、

行政のオンライン化など四つの重点政策を提示し、

5月21日に青年党員の代表らと共に、

首相官邸に当時の菅義偉官房長官に対し、

行政手続きのオンライン化の整備などを

盛り込んだ緊急提言を申し入れたのです。

 

 

菅義偉官房長官(中央、役職は当時)に緊急提言を申し入れる公明党青年委員会のメンバーら=2020年5月21日 首相官邸
菅義偉官房長官(中央、役職は当時)に緊急提言を申し入れる公明党青年委員会のメンバーら=2020年5月21日 首相官邸

 

具体的には、今回の新型コロナ感染拡大のように

“急に訪れる危機”に対し、

給付金など各種支援でスピーディーに対応するため、

行政手続きのオンライン化の早期整備を強調。

 

個人情報保護やセキュリティーを重視しつつ、

スマートフォンで行政手続き

簡単にできるようにすることなどを訴えました。

 

 

3、「デジタル庁」創設が菅政権の目玉政策に

 

9月16日、新たな自公連立政権合意を受けて、

菅内閣が発足しました。

 

変革への大きな期待を背負って登場した菅首相が、

目玉政策の一つに掲げたのが「デジタル庁」の創設です。

 

デジタル庁という言葉を聞いて、

唐突に思った方も少なくないと思います。

 

確かに、この言葉自体は

菅内閣の誕生とともに出てきたものです。

 

しかし、実は大きな方向性はこれまでの

政府・与党内での議論を通じて

ある程度固まっていたものでした。

 

公明党は6月30日、当時の安倍晋三首相に対し、

政府の「骨太の方針」に関する提言を手渡しました。

 

この提言の柱となったのが、

行政、医療、教育分野のデジタル化推進です。

 

具体的には、社会や行政のデジタル化への重点投資を要請。

 

全国民にマイナンバーカードを普及させ、

行政手続きの完全デジタル化をめざす必要があるとして、

マイナンバーと銀行口座を紐付けるよう訴えました。

 

また、オンライン診療や遠隔医療の定着、

教育のICT(情報通信技術)化を推進する

「GIGAスクール構想」の実現も求めています。

 

当時の安倍晋三首相から

「しっかり骨太の方針に反映させたい」

と答えていただきました。

 

安倍晋三首相(中央)に緊急提言を申し入れる公明党の石田祝稔政務調査会長(左隣)ら=2020年5月21日 首相官邸 ※役職はすべて当時
安倍晋三首相(中央)に緊急提言を申し入れる公明党の石田祝稔政務調査会長(左隣)ら=2020年6月30日 首相官邸 ※役職はすべて当時

 

こうして、本年7月17日に閣議決定された

「経済財政運営と改革の基本方針2020」(通称・骨太の方針)では

「デジタル・ガバメント」(電子政府)の構築を

「一丁目一番地の最優先課題」と位置づけ、

今後1年を集中改革期間とすることが明記されています。

 

具体的に見ていきましょう。

 

例えば、前述した給付金オンライン申請に関連するものとして、

骨太の方針では、公金の振込口座をあらかじめマイナンバーと

紐付けておく事について検討し、20年中に結論を得るとしています。

 

今回の特別定額給付金の騒動で明らかになったように、

全ての対象者が振り込みを希望する口座番号情報も含めて、

その都度申請するのはあまりにも非効率です。

 

一方で、口座番号を紐付けることで、

政府にお金の出入りを勝手に知られるのではないか

という不安をお持ちの方も少なくありません。

 

制度設計も含めてこれからの議論ですが、

口座番号情報の使用目的について

法令であらかじめ規定しておくなど、

懸念を一つひとつ解消することが出来れば、

データ連係を通じて膨大な手間を省くことができます。

 

その他にも、

健康保険証や運転免許証とマイナンバーカードの一体化、

さらにはカード機能をスマホに内蔵することなど、

デジタル技術の活用については既に具体的な議論が始まっています。

 

こうした個々の施策を統括し、

推進する主体について、骨太の方針では

「内閣官房に新たな司令塔機能を構築し、工程を具体化する」

と明記されました。

 

この組織こそ、デジタル庁に他なりません。

具体的な施策とともに、

司令塔となる組織が新たに立ち上がることで、

デジタル社会に向けた挑戦がいよいよ動き出すのです。

 

 

4、「誰ひとり取り残されない」デジタル化

 

ここからは、デジタル社会になることで、

私たちの暮らしがどう変わるのかについて見ていきましょう。

 

先行事例としてよく引き合いに出されるのが、

北欧の小国・エストニアです。

 

バルト三国の北端、

フィンランド湾に面する人口130万人程度の国で、

観光以外に目立った産業もないところでしたが、

1990年代初頭のソビエト連邦崩壊に直面して、

資源も、資金も、大国の後ろ盾もなくなったため、

国家の生き残りをかけて

行政システムの電子化に舵を切りました。

 

そこで、国民の暮らしはどう変わったのでしょうか。

引っ越しを例にあげます。

 

日本では、転出届を提出し、

転出証明書とともに、

引っ越し先の自治体窓口に転入届を提出します。

この時、本人確認書類と印鑑は必携です。

続いて、電気、ガス、水道、銀行に携帯電話……。

気が滅入るような書類作成と窓口手続きの連続です。

 

一方、エストニアでは、

オンラインで住所変更をすれば、

必要な手続きは全て完了。

もちろん窓口に並ぶ必要はなく、

24時間365日、いつでも受付可能です。

 

今では、結婚・離婚と不動産取引以外は、

全てオンラインで完結できる利便性を実現しています。

 

今でこそ、国民の大多数がデジタルツールを使いこなし、

キャッシュレス生活を送る同国ですが、

当初は高齢者や小規模事業者を中心に

不安の声が数多くあがりました。

 

そこで政府は、こうした方たちを一軒一軒訪問して、

タブレット端末の操作方法やオンラインでの

行政手続きについて、丁寧にサポートしていったのです。

 

こうして手間をかけながら不安を取り除き、

納得に変えていったところに

成功の鍵があると言われています。

 

その意味で、社会の隅々まで目を行き届かせ、

「誰ひとり取り残さない」

との政治姿勢を貫いてきた公明党の力が、

今こそ発揮される時はありません。

 

実は9月1日から、

きめ細やかな支援の第一弾として、

「中小企業デジタル化応援隊事業」がスタートしました。

 

これは、

「IT活用といってもどこから手をつければよいのか」

「テレワークの始め方がわからない」

といった中小企業に対し、

フリーランスや兼業・副業人材を含めた

IT人材を派遣して支援にあたるというものであり、

訪問型のハンズオン支援を求めてきた

公明党の提言を受けて新設された事業です。

 

アフター・コロナの『新常態』では、

ビジネスのやり方も大きく変わらざるを得ません。

ビジネスモデルの変革に挑む中小企業を

しっかり応援できるよう、

事業の成果を見極めながら、

さらなる充実に努めたいと考えています。

 

そして、今後は中小企業にとどまらず、

高齢者や障害をお持ちの方、

PCやタブレットに不慣れな方たちなど、

支援対象の拡充にも取り組んでいきます。

 

 

5、会津若松スマートシティ構想

 

これから取り組むトップダウン型のデジタル化に対して、

ボトムアップ型で街づくりのデジタル化に取り組んできた、

先進的な事例が福島県の会津若松市です。

 

スマートシティの取り組みについて説明を受ける公明党デジタル社会推進本部のメンバー=2020年9月25日 福島・会津若松市
スマートシティの取り組みについて説明を受ける公明党デジタル社会推進本部のメンバー=2020年9月25日 福島・会津若松市

 

福島県会津若松市では、

東日本大震災からの復興支援を足がかりに

スマートシティ・プロジェクトを開始し、

今や「人に選ばれる」地方都市のトップランナー

と認識されるようになりました。

 

街づくりという点からも、

いかに多くの市民を巻き込み、

納得感をもって参加してもらえるかが

成否の分かれ目となります。

 

世界の主流が本人の同意を得ずにデータを活用する

「オプトアウト」方式に対し、

会津若松市では市民自らデータを提供してもらうことで、

そのデータを活用していく「オプトイン」方式を採用。

 

例えば、各家庭の電力消費の状況や

ウエアラブル端末に蓄積される健康情報などの

極めてパーソナルな情報について、

データ収集の目的と効果を含めて丁寧に説明し、

同意した人だけを対象にデータの提供を受けます。

 

そうして得られたデータは、

学術研究や街づくりに還元されるとともに、

提供者個人に対しても、より賢く電気を使い、

より健康的な生活を送るための助言を送るなど、

個別にフィードバックを行っているのが特徴です。

 

その結果、参加した家庭の電気代が3分の2に減るなど、

わかりやすいメリットがあることで

参加者が増える好循環がおきています。

 

多くの関係者の輪をどんどん広げ、

声を拾い上げ、一緒になって街づくりを進める。

これは公明党の得意とするところです。

 

このプロジェクトでリーダー役を務める、

アクセンチュア・イノベーションセンター福島の

中村彰二朗センター長は、

街づくりで一緒になって力を合わせてきた公明党に対し、

「市民が目的感を共有し、

地域に自ら情報を提供するボトムアップの取り組みを

リードできるのが公明党」

とエールを送って下さっています。

 

 

6、デジタル社会の成否を握る公明党のネットワーク力

 

ここまで見てきたように、

デジタル社会に向けた取り組みでは、

給付金の支給や定型の行政手続きなど

トップダウンで進める改革と、

街づくりのように地域の特性に応じて

ボトムアップで進める改革の双方がかかせません。

 

この双方がしっかりかみ合わなければ、

期待の高まる東京一極集中の是正や

地方創生も絵に描いた餅です。

 

実現の鍵を握るのは、国と地方の連携を担い、

現場での幅広い合意形成の要となってきた

公明党のネットワーク力に他なりません。

 

デジタル化の推進は、

9月27日に行われた公明党全国大会の席上

発表された幹事長報告の中でも確認されました。

 

すなわち、行政の効率化や企業の

生産性向上につながるデジタル化は、

地方創生の大きな“武器”になるとした上で、

デジタル化への集中投資と環境整備を積極的に進め、

その恩恵を享受できる

「新たな日常」を広げ、定着させていく。

 

その際に社会の分断、格差を生むことがないよう、

「誰一人取り残さないデジタル化」社会

築くという観点を重視。

国民一人一人に最低限度のICTを活用できる

環境を保障する「デジタルミニマム」を基本理念とし、

デジタルデバイド(情報格差)が生じないように検討を進めていく。

 

今後は、こうした視点に立って、

公明党はデジタル化を進めていきます。

 

「デジタル社会」への挑戦は始まったばかりです。

 

皆様の声とともに、新しい時代を、

社会をどう切り開いていくことができるのか。

公明党にご期待ください。