NEWS

「氷河期」生まない雇用施策/党合同会議での講演要旨/山田久・株式会社日本総合研究所副理事長

2021 . 01 . 21

公明党青年委員会(委員長=矢倉克夫参院議員)は昨年12月25日、若者の雇用施策推進に向けて党雇用・労働問題対策本部(本部長=山本香苗参院議員)などと合同会議を開き、識者の講演をオンラインで聞きました。その要旨を紹介します。

中小企業と学生とのマッチングを
卒業後3年以内を新卒扱いに

今回のコロナ禍で、非正規労働者を中心に雇用が多く失われた。年齢別の就業率を見ると15~24歳が大きく低下しており、学生アルバイトの失業が多いとみられる。政府与党による支援策で退学の数は抑えられているものの、この先もリスクはあるので、しっかり見ておく必要がある。

より懸念されるのが新卒採用への影響だ。2020年10月1日時点の就職内定率は、前年比で急激に低下している。それに加え、過去のパターンでは景気後退の翌年に採用が絞り込まれる傾向があるため、影響が残る可能性がある。実際、調査では22年の採用を「減らす」と答える企業が増えている。コロナ禍への対応を取りながら、日本の採用や雇用の仕組みにまつわる構造的問題に対処することが必要だ。

就職氷河期に起きたことを振り返ると、大卒や高卒だけでなく、短大卒の女性にも大きな影響が出ていた。当時の氷河期世代が安定した職に就けていない問題は、まだ残っている。

就職氷河期を生んだ原因は、終身雇用を前提とした日本の雇用慣行にあるとする議論がある。日本の場合、一度採用すると簡単に解雇できないので、景気が悪くなると、特に新卒採用が抑制される。たまたま景気の悪い時に就職する人は不利だという指摘だ。

だから、雇用の流動性が高い欧米型がいいのだという意見もあるが、そう簡単な話ではない。欧米の仕組みは原則、退職者のポストに合わせて採用していく欠員補充型だ。この仕組みには、若い人がなかなか正規の雇用に就けないという問題がある。若年層の失業率を見ると、日本は非常に低く、優等生だ。一方、欧米は高い。単純に欧米型にすればいいという問題ではないのだ。

ドイツでは、学校教育と職業教育を同時に進めるデュアルシステムが採られている。中学卒業後、大学進学のための高等教育に進む若者が約3分の1。残りの3分の2は企業と契約し、徒弟制度を組んで働きながら学ぶ。ある程度、非正規で職業訓練し、ポストが空くと正規で採用されていく。大卒の場合もインターンシップで経験を積むことが多い。近年、欧米型の雇用慣行への部分的な理解から、日本企業が学生に即戦力を求める傾向がある。しかし、デュアルシステムのような職業訓練がない日本では前提が整っておらず、普通の学生が翻弄されてしまっている。現在の日本の就職プロセスは企業と学生の相互理解が不十分で、それが入社後の高い離職率につながっている。

少なくとも当面は、多くの普通の学生に対し、新卒一括採用の慣行を維持すべきだと考える。その上でインターンシップ経由やジョブ型の採用など、学校から企業への移行ルートを多様にしていくべきだ。その際、学校と企業が対話を進め、産学連携を密にすることが重要になる。ただし、一般教養を身に付けさせるという学校の役割は重視し、教育があまりにも実践的な内容に偏ることは避けるべきだ。

非正規雇用の若者を正規化するためにも、職業訓練は有効だ。スウェーデンの高度職業訓練制度は2年間のコースで、初年度が座学、2年目は企業で実際に働く。産業界が現在、あるいは将来に人材が不足する職種を図で示し、重点的に育成する仕組みで、うまくいっているといわれている。

第二の就職氷河期を生まないための施策について述べたい。依然として中小企業は人手不足にあり、学生とのマッチングのための「合同お見合い会」をウェブ形式も含めて行うことが大事だ。また、中小企業で働く魅力を高めるために、若手教育の充実が必要だ。例えば、大手企業OBの派遣などが考えられる。さらに、非正規を3年以内に正社員化した場合や長期インターンシップを実施する企業への助成金、卒業後3年以内を新卒扱いとすることも重要だ。これらを官民合意の上でパッケージとして打ち出してほしい。

コロナ禍は特に弱者に影響を及ぼす。日本では若者が弱者になりがちだ。若者に政治の力で希望を持たせ、サポートしていくことが重要だ。