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自治体で進む「婚活」支援

2019 . 01 . 10
結婚願望はあるけれど、出会いがない――。そんな独身者を応援しようと、今、多くの自治体が「婚活」支援事業に取り組んでいる。出会いの場を提供するだけでなく、上手な交際の仕方を紹介するなど、手厚いサポートで縁を結んだ実績も多い。少子化などを背景に婚活支援に力を入れる自治体の取り組みを紹介する。

細かく相談、200人結ぶ 佐賀・伊万里市

応援課が推進役

各地の婚活支援事業の中でも、大きな成果を上げているのが佐賀県伊万里市だ。

同市は2010年4月から、全国に先駆けて「婚活応援課」を設置。毎月バスツアーやランチ会といった交流イベントを開催しており、これらに参加できる会員登録者数は、昨年12月末までに約1200人に上っている。同課の担当者は「これまでに、200人以上から結婚できたとの報告があった」と胸を張る。

多くの自治体が、イベントや相談業務などを外部企業に委託する中、専門部署を持つ同市では全て自前で企画・運営を行っているのが特徴だ。例えばイベントでは、地元の企業や団体と連携したり、担当の課職員2人が司会進行を担うことで、「事業予算は年間50万円と他の自治体に比べ、かなり抑えることができている」(市担当者)という。

また、イベントへの参加者から相談があれば、職員が事前に好感が持たれる話し方や服装などのレクチャーを行ったり、カップル成立の有無にかかわらず参加者全員と連絡を取ることも欠かさない。これら細かなサポートが、同市の婚活支援が成功している秘訣といえそうだ。

交際のノウハウ提供 福井市

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マニュアルを作成

婚活を始める人に役立ててもらおうと、福井市は昨年8月、交際マニュアル「婚活のススメ」を作成した。

「出会った時の印象は15秒で決まる」「会話を盛り上げるには、共通点を見つける」――。マニュアルには、こうした第一印象の重要性や、交際力を高めるための具体的なノウハウなどが数多く掲載されている。かわいらしいイラストとともに、見やすいレイアウトで分かりやすく描かれている。

他にも、出会いからデート、その後の交際から婚約、結婚、出産までの目安を示した「ミライデザイン年表」もあり、手に取った人からは「人生設計の参考にもなる」と好評だ。

現在、500部発行され、市主催の婚活イベントの参加者に配布している。市の担当者は、「異性と付き合うための交際力を高めるツールにしてもらえれば」と話している。

AIが相性診断 埼玉県

20190110_13_4埼玉県は昨年10月、県内在住・在勤、または近い将来、埼玉県への移住を考えている20歳以上の男女を対象に出会いから結婚までを支援する「SAITAMA出会いサポートセンター」を県内3カ所に設置した。ここでは、AI(人工知能)を活用し、相性ピッタリの異性を探すことができると話題だ。

具体的には、有料で会員登録した人に、価値観や性格などに関する100を超す質問に答えてもらい、その後、データ分析などに基づいて、AIが登録会員の中から相手を選ぶ仕組み。現状の会員数は約1400人だが、県は3年間で7000人の登録をめざしている。

政府 交付金などで後押し

内閣府は、公明党の主張を踏まえ2013年に地方自治体が少子化対策事業に使える交付金を創設。以来、婚活支援に取り組む自治体が急増しており、昨年10月末現在で、39都道府県104市区町村に広がっている。

先に紹介した取り組み以外にも、ユニークな婚活支援を進める自治体は多い。出会いが少ない酪農家の男性を対象に、地元外から訪れた女性と共に農業体験を行うイベントや、美容院での待ち時間を生かし、美容師が婚活相談に応じる取り組みなど多岐にわたる。

内閣府は今後も、支援に乗り出す自治体が見込まれることから、17年末に自治体や企業向けに「結婚の希望を叶える環境整備に向けた取組の参考指針」をまとめた。婚活支援は行き過ぎるとセクハラにもなりかねないため、「特定の価値観を押し付けない」「プライバシーを守る」などの留意点とともに、情報提供や出会いの場づくりなど具体的な対応事例を紹介している。