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人への投資-教育充実めざして(上)/給付型奨学金/進学希望者の“背中”押す/公明主張し今年度開始 経済的な事情を克服/受給者が喜びの声 「大学に行けるとは……」

2017 . 08 . 17

大胆な「人への投資」が人材を育て、伸ばし、日本の未来を切り開く――。こうした考えから公明党は今年5月、政府に対し、「人への投資」を成長戦略の柱とするよう提言し、政府が6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)などに色濃く反映された。教育の充実に焦点を当て、3回にわたって先進事例と課題を追った。

「僕が大学に行けるなんて、思ってもいなかった」

横浜市のファミリーホームを高校卒業とともに退所し、国の給付型奨学金を得て、4月から神奈川県内の私立大学に通う男性Sさん(19=同市在住)は7月、ファミリーホームを訪れた公明党の富田茂之文部科学部会長(衆院議員)らと懇談した際、そう振り返った。

ファミリーホームは、家庭環境を失った子どもを迎え入れ育てる「家庭養護」の一つ。今年度から始まった給付型奨学金では、一定の要件を満たした大学生らに月額最大4万円が支給され、公明党の提案で、Sさんのような学生(児童養護施設出身者など)には入学金相当の一時金(24万円)も給付される。

母子家庭で育ったSさんは定時制高校に進学したものの、直後に母親が精神疾患に罹るなどしたため、ファミリーホームに入所。“母”であるホーム長から「あなたなら大学に行ける」と励まされ、進路を模索した。

行きたい大学は私立の理系。授業料は年間120万円以上で、生活費なども含め、経済的な不安は拭えず、進学もためらった。

しかし、ホーム長が国の給付型奨学金創設や行政の支援制度などを教えてくれて進学を決意。努力の末に志望校入学を勝ち取り、「ゲームをつくる仕事に就きたい!」と、夢を描きながら、勉強とアルバイトの両立に挑む日々だ。

経済的な“負担”を理由に進学をためらうケースは多い。Sさんのように社会的養護が必要な子どもばかりではない。親の所得が低いほど、子どもの大学進学率が低下する傾向は顕著になっている。文科省の研究事業による2012年の調査では、4年制大学への進学率は、年収825万円以上で60%を超えるのに対し、同400万円以下は27.6%と大きく下がる。

そこで公明党が一貫して主張し、今年度に先行実施されたのが給付型奨学金だ。来年度には本格導入される。

東京大学の小林雅之教授は「『給付型』創設の意義は大きく、特に経済的に厳しい家庭の子どもや入学金の負担に配慮した支援を盛り込んだ公明党の成果は大きい」と評価するとともに、「始まったばかりの制度を今後も検証し、より多くの進学希望者の“背中”を押せる制度へと充実させてほしい」と期待を寄せる。

富田部会長は「やっと誕生させることができた『給付型』を今後、給付額、対象枠ともに大きく育てていきたい」と語る。経済的な理由からの進学断念を防ぐための公明党の挑戦は続く。