公明新聞・東日本大震災10年特集公明新聞・東日本大震災10年特集

フォトルポ

“東北産ギター”を世界へ
宮城・女川町

被災地、春点描

2021.03.17

「東北の素材を生かしたギターを世界へ広めたい」と意気込む梶屋さん=宮城・女川町「東北の素材を生かしたギターを世界へ広めたい」と意気込む梶屋さん=宮城・女川町

 東日本大震災の被災地の中で、復興のトップランナーと称される宮城県女川町。町のシンボルであるテナント型商店街「シーパルピア女川」の一角に、海辺の町には珍しいギター工房がある。

 その店の名は「GLIDE(グライド)」。梶屋陽介さんが代表を務める。かつて“楽器の街”東京・御茶ノ水の楽器店で「日本一ギターを売った男」として、多くのギター愛好家から慕われた“レジェンド”だ。

 震災後、東京からボランティアで被災地へ通った梶屋さんは「音楽を通して東北の復興を支援したい」と移住を決断した。2014年に仙台市でギターショップを開き、やがて女川町へ移住。工房の立ち上げには、ギター愛好家でもある須田善明町長も応援した。

 現在、工房では東北の素材を生かしたギター製作やメンテナンスに取り組む。作業の合間、梶屋さんは満面の笑みで語った。

 「魅力ある製品やサービスは国境を超える。一歩ずつ、技を磨いていきたい。それが復興の一助になると信じて」