公明新聞・東日本大震災10年特集公明新聞・東日本大震災10年特集

証言集

亡き人を忘れず「生きっぺし」
岩崎昭子さん(旅館女将)

あの日から、明日へ 3.11私たちの証言

2021.03.11

旅館女将・岩崎昭子さん

 空がきれい。54歳で死んでしまうんだなあ――。津波にのまれ、波に体が浮いた状態の私に恐怖心はありませんでした。その後、波の中で気を失い、意識が戻ると“生きたい”という感情が込み上げました。近くに居た従業員の手をつかみ、裏山へ登りました。私は九死に一生を得ましたが、従業員3人が犠牲となりました。

 津波は4階建ての旅館「宝来館」の2階まで到達。水が引いた夜からは旅館を避難所として開放し、逃げてきた住民と、励まし合って過ごしました。

 「ここで旅館を続けるのはもう無理かもしれない」と思いましたが、地元の人から「旅館を残してほしい」と言われ、再開を決意。釜石の復興のお役に立ちたいと誓い、走り続けています。

 3.11では、力を合わせて一つになることや生きる喜びを学びました。亡き人への思いを忘れず、前を向いて生きっぺし!(岩手・釜石市在住 64歳)