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証言集

生きてさえいれば、必ずいいことがある
鮎川ゆきさん(パン屋オーナー)

あの日から、明日へ 3.11私たちの証言

2021.03.11

パン屋オーナー・鮎川ゆきさん

 原発事故で飯舘村が全村避難となり、2人の幼子を抱え一家で秋田の親戚宅へ車で移動していた途中、ガソリンがなくなり、山形県新庄市の避難所へ身を寄せました。

 山形には当時、知り合いもおらず、土地勘もありません。「一週間で帰れる」と考えていた避難生活は長引き、離婚し、仕事も失いました。それでも「生きてさえいれば、必ずいいことがある」とプラス思考でがむしゃらに頑張りました。

 子どもたちとの時間を大切にしようと6年前、自宅を兼ねた米粉パンの店「あおいそら」を大石田町でオープン。飯舘村オリジナル品種のカボチャ「いいたて雪っ娘」を使ったパンがおすすめです。

 縁あって再婚し、新しい命を授かりました。3人のわが子から「ママの子どもで良かった」と思ってもらえるよう笑顔で歩みます。(福島・飯舘村から避難し山形・大石田町在住 37歳)