公明新聞・東日本大震災10年特集公明新聞・東日本大震災10年特集

主張

大震災10年「人間の復興」へ誓い新たに

2021.03.10

 あす11日、東日本大震災の発生から10年を迎える。

 津波被災地では、通常ならば処理に十数年はかかるとされた震災がれきの山が既になく、復興住宅や商業施設などが建設された。

 一方で、新しいコミュニティーづくりや産業振興が軌道に乗るには時間が必要だ。ましてや被災者の心のケアをはじめ、事故を起こした東京電力福島第1原発の廃炉や帰還困難区域の解除といった問題の解決は容易ではない。

 震災の記憶の風化も懸念される。歳月を経るに従って国民の関心が薄れ、さらにコロナ禍により被災地を訪れる人が激減している。自然災害が激甚化・頻発化する中、3.11の教訓を防災・減災・復興に生かさねばならない。

 その意味で、2021年度から始まる「第2期復興・創生期間」が重要である。

 こうした問題意識から公明党は6日、岩手、宮城、福島の被災3県の議員を中心に、全国の国会議員、都道府県本部代表ら計約250人がオンラインで参加して「復興創生大会」を開催した。

 大会では、「真の復興である『人間の復興』に向けた新たな10年の闘いは、『大衆とともに』との立党の原点を持つ私たち公明党の揺るぎない使命である」との決意を込めた宣言が読み上げられ、「次の10年」に向けた目標を全党で共有、復興への誓いも新たに出発した。

 公明党が掲げる人間の復興は、日本国憲法で定める幸福追求権(13条)と生存権(25条)を念頭に、一人一人に焦点を当てた“終わりなき闘い”である。生きる意味や希望を失った被災者が、それを取り戻せてこそ人間の復興といえる。

 誰一人置き去りにせず、被災者に寄り添い続けていく姿勢を忘れまい。

 東北の被災地は、人口減少や少子高齢化が加速する課題先進地でもある。震災を契機に整備された復興道路や震災伝承施設などを生かした、新たなまちづくりと地域振興のアイデアが問われている。

 この点で、公明党の地方議員と国会議員によるネットワークが果たすべき役割は大きい。被災地の創意工夫を国が後押しする体制を築いていきたい。