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インタビュー

被災した子ども・若者の記憶や体験の共有の場を
東洋大学社会学部教授 森田明美氏

識者が語る東日本大震災10年

2021.03.04

東洋大学社会学部教授・森田明美氏東洋大学社会学部教授・森田明美氏

 ――震災を経験した子どもたちの現状をどう見るか。

 森田明美・東洋大学教授 この10年、被災地の子どもたちの暮らしぶりの変化を調査し、学生たちと支援活動も行ってきた。まず知らねばならないのは、子どもの時期に被災した人たちは痛ましい記憶にそっと、ふたをして必死に生きていることだ。目の前で大切な人が亡くなったり、津波で家が流された体験は並大抵の怖さではない。心の奥深くに残っている記憶を抱えながら、進学や就職、結婚、出産、子育てなど人生で最も激動する時期にきちんとした支援が受けられず成長してきた子どもや若者が多い。10年たって「今思い出した」と初めて語り出す人もいる。子どもたちが話し出すのを聞き、自然につらさや喜びなど体験を共有できる場がこれからも必要だ。

 ――子どもの成長にどのような影響を与えたか。

 森田 子どもの時期に、被災した家族や周囲を心配して進学を諦めたり、自分の夢を我慢した人がたくさんいる。震災が子どもたちの「生きる意欲」を失わせたことで、心身の発達に大きな影響を与えている。当時は心のケアの対象外だった高校生以上の若者への影響も深刻だ。今、子育てをしている人もいるが、周囲の助けがほしい時に家族が亡くなった事実を再認識し、抑うつ的になる傾向が見られる。

■成長の軌跡を記録に残すべき

 ――今後、支援する上で大事なことは。

 森田 被災した子ども・若者たちを支援し続ける仕組みを作らねばならない。オンラインなどを活用して交流できる仕掛けや、悩み事をリアルに直接受け止めてくれる常設の公的な機関が必要だ。

 その仕組みを作る重要性を認識するためにも、被災した子どもの影響や軌跡を記録した「東日本大震災子ども・若者白書」の作成が大事だ。子どもたちが震災後にどうやって生き延び、何を考えていたかという“生きてきた証し”を残しておかねばならない。

■公明の“聴く力”が支援策を後押し

 ――公明党について。

 森田 震災からの復興において、公明党の関係者や支持者は「声を聴く」という面で大きな力を発揮している。被災地で子どもの声を聴く活動を担うだけでなく、全国の地方議員や党員、支持者に声を共有してくれた。公明党には、ネットワークの力を生かし、国内外に散らばっている被災者に寄り添い、支援につなげる重要な役割を担ってほしい。