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復興への思い乗せて地元産品を宇宙へ

被災3県で進む「ミッション2021」

2021.01.11

 東日本大震災から10年となる今年、国際宇宙ステーション(ISS)から、支援への感謝と復興の今を全世界に伝える「東北復興宇宙ミッション2021」(事務局・一般財団法人ワンアース=長谷川洋一代表理事)が進んでいる。その一環として、同ミッションに参加している被災自治体が5月、復興と地域振興への願いを込めて地元産品を民間ロケットで送り込む。宮城、岩手、福島の3県の取り組みを紹介する。=東日本大震災取材班

■(宮城=パプリカの種)世界中の支援「忘れない」

 宮城県からは太平洋沿岸の全15市町が参加。県は、創造的復興のシンボルとして「パプリカの種」を選んだ。

 震災前から同県はパプリカの日本一の生産地。多くの農地が被災しながらも農家は懸命に再生へと挑んだ。とりわけ大津波で甚大な被害を受けた石巻市北上地区では最先端技術でパプリカを栽培。木質バイオマスなどで施設園芸に熱を供給し、温度管理にはICT(情報通信技術)を活用することで一大生産地となった。

 長谷川代表理事らは先ごろ、県庁を表敬訪問。村井嘉浩知事は「宮城の復興の姿を世界中の人に見てもらいたい」と期待。同席した公明党の庄子賢一県議は「パプリカの花言葉『君を忘れない』のように、支援してくれた人々の思いを心に刻み、震災の経験を世界へ伝えたい」と述べた。

村井知事を表敬訪問する長谷川氏ら宮城県庁を訪れ村井知事(左から2人目)を表敬訪問する長谷川氏(同3人目)ら

■(岩手=ブランド米のもみ)新品種に夢と希望託して

 岩手県からは沿岸12市町村全てが参加。「ハマギク」(大槌町)や「三面椿」(大船渡市)などに加え、県はブランド米「銀河のしずく」のもみを選択した。

 銀河のしずくは、2016年に誕生した。夏場に吹く冷たい風「ヤマセ」に見舞われ、凶作がたびたび発生する岩手県にあって、寒さと病気に強い「奥羽400号」とコシヒカリと同等の食味を持つ「北陸208号」を交配。途中、大震災に見舞われながらも、10年がかりで開発された。「米どころ岩手」を担う新品種として注目されている。

「銀河のしずく」のもみ(岩手県提供)「銀河のしずく」のもみ(岩手県提供)

 「ミッション」の説明に訪れたワンアースのメンバーに対し、達増拓也知事は「子どもたちの夢と希望、未来を照らすプロジェクトだ。県産米を生かした復興にも力を入れたい」と話していた。

■(福島=日本酒用酵母)帰還後、多くの蔵元で活用

 福島県からは16市町村が参加。県は日本酒造りに使う「うつくしま夢酵母」を宇宙へ送り出す。

 多くの酒蔵が東日本大震災で被災し、東京電力福島第1原発事故で風評被害を受けながらも、新酒の出来栄えを競う全国新酒鑑評会で、全国最多の金賞受賞酒を輩出するようになった福島の日本酒。

 同酵母は、県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターが1991年に開発した。今回は、フリーズドライした状態で打ち上げ、帰還後、酒造りに生かす試みには現在、県内20の蔵元が手を上げている。

 県酒造協同組合の有賀義裕理事長は「“宇宙に行った”お酒なので、無重力のように気持ちよくなるのでは」と期待を寄せる。内堀雅雄知事は「福島の復興は、これからも続く。『宇宙酒』を夢と希望につなげたい」と語っている。

宇宙に打ち上げられる福島県のオリジナル酵母宇宙に打ち上げられる福島県のオリジナル酵母

■記憶と教訓 語り継ぐ契機に/一般財団法人ワンアース 長谷川洋一代表理事

 東日本大震災が起きた時、あっという間に世界中から支援の手が差し伸べられました。それから10年となる3月11日。世界の人々に東北の今の姿を伝え、感謝を述べたい。

 今回のミッションの目的の一つは、次世代への震災の記憶と教訓の伝承です。宇宙を旅した被災地の花や農産物をきっかけに、震災のことを身近に感じ、命の美しさを学んでいってほしい。

 私たちの取り組みには、公明党の甚野源次郎・元福島県議から多くの助言や提案をいただきました。また、各地の公明議員が、行政との橋渡しや情報発信などの力となってくれ、感謝しています。