完全実施を決定づけた、公明議員の気迫の質問

日本国憲法第26条には、「義務教育は、これを無償とする」との一節がある。にもかかわらず、戦後長きにわたって義務教育の教科書は有償だった。  公明党は、結党以前の国政初進出時から保護者の負担軽減を重要政策に掲げ、教科書無償配布実現に向けても努力を重ねてきた。  完全実施を決定づけたのは、一つの国会質問。63年3月13日の参院本会議で、小学校教師の前歴をもつ柏原ヤス参院議員が、当時の池田勇人首相に対し、「何はさておいても中学3年までの教科書代を無償にすべきです!」と迫った。  首相は、「憲法の理想を実現することに努め、昭和41(1966)年度までには義務教育の教科書を全部出したい」と答弁。それは、小学1年から中学3年までの教科書無償配布を、首相が政府全体の方針として初めて言明した瞬間であった。  そして、教科書無償配布は63年から段階的に実施された。政府の対応の遅れで66年には間に合わなかったものの、69年には完全実施された。

【写真】公明会・柏原ヤス参院議員の質問から実現した無償配布の教科書を受け取る児童たち (千葉・船橋市立塚田小学校 1967年9月8日)