綿密な調査で、基地の3分の2が返還可能と判明
公明党の政治手法の特徴として、「調査なくして発言なし」が挙げられる。1968年に党を挙げて取り組んだ「在日米軍基地総点検」は、まさにその手法の真骨頂であった。 68年当時、騒音問題など基地公害による住民生活被害が各地で深刻視されていた。それだけに基地問題の解決は、大きな政治課題となっていた。 しかし、在日米軍基地の実態については、公式・非公式を問わず、一度も公表されたことがなかった。そこで、米軍基地を総点検して、不要・遊休の基地の返還を求めることとしたのだ。 丸2カ月に及んだ調査は、北海道から鹿児島県まで(当時返還前の沖縄は第2弾として69年7〜9月に実施)、145カ所の基地施設に対して実施された。議員、党職員、党員の計2千数百人が調査に参加。結果をまとめた報告書はB5版391ページにも及んだ。 調査によって、使用されていない基地や目的外使用されている基地が多く、全基地の3分の2が返還可能であることが明らかにされた。 初の全基地調査の試みは新聞各紙にも高く評価され、国民の基地問題に対する関心も高めた。そして、この調査が大きな契機となり、米国側は基地の一部返還、整理・縮小に応じたのであった。