Local Report

地域の未来(あす)へ―貢献する議員・党員ネット発信で広がる共感

地域の魅力をきめ細かく伝える

神奈川県藤沢市 松下賢一郎議員

神奈川県藤沢市は湘南を代表する片瀬・鵠沼海岸のほか、観光客でにぎわう江の島を有する日本を代表する観光地の一つ。東京都心から約50kmの近さも手伝い、訪れる観光客は年間で1550万人にも上るという。

ある婦人向け雑誌の調査(全国約5000人を対象)では、「主婦が幸せに暮らせる街」ランキングで藤沢市が1位を獲得するなど、観光ばかりでなく、住まう観点からも人気が高い、いわば"ブランド"的存在といっていい。

ウェブサイトは“議員活動データベース”

松下賢一郎オフィシャルウェブサイト▲15年間の議員活動のほぼすべてがウェブサイトに蓄積されている

この藤沢の地で市議会議員(現在、4期目)を務めているのが松下賢一郎さんだ。

議員としての信条を「議会での発言と実績に重きを置く」との言葉そのままに、副議長を務めた2年間を除くすべての定例議会で一般質問を行ってきた。

その足跡のすべては松下賢一郎オフィシャルウェブサイトに収められている。

1999年に初当選。すぐさまサイトを立ち上げて以来、政策、実績、議会報告など、きめ細かい発信内容には定評がある。とりわけ、通算45号を数える「政策リポート」にはそのまま議員活動のすべてが網羅され、時系列のみならず、分野別でも取り組みが閲覧できるように工夫が施されている。

▲自宅ダイニングの一角が松下さんの書斎。議会質問の直前は資料が山積み状態になるという

松下さんにとって、ウェブサイトは有権者への情報公開の義務を果たすツールであるとともに、「私自身のデータベースでもある」という。

さらに「議員は資料収集や整理、質問のための原稿まとめなど、さまざまな情報を扱わなければなりません。その中で公開できるものはすべてサイトで公開していこうと思いました」とも。

ネットによる情報公開が必須の時代になることを早くから見通していたのは慧眼(けいがん)というほかない。

双方向コミュニケーションで広がる信頼

今年6月からはFacebookでの発信も本格的に取り組み始め、「ホームページよりも、はるかにやりがいがある」とのこと。

「Facebookの講習がきっかけで、何げなく、『日大のバラ園が今、見ごろです』と写真をアップしてみました。すると、立て続けに『いいね!』がばばばと付いて。反響が手にとるようにわかる。これはすごいなと思いましたね」と振り返る。

投稿内容の多くは地域に根ざした話題で、写真も多数掲載することが特長。藤沢の魅力が多角的に紹介されている。

お祭りや各種イベントなどにこまめに足を運び地域を回り、そこに集う住民と語り合う中で、課題を探りつつ、発信していく。そこに居合わせた人たちからのみならず、一度も会ったこともないFB友から寄せられる励ましのコメントには、「本当に勇気づけられます」という。

そして、松下さんはコメントには必ず返信をするように心がけている。双方向のコミュニケーションに威力を発揮するFacebookの特性を存分に生かし、信頼の輪を大きく広げている。

▲地域の課題やお祭り、花の見ごろなど、藤沢の魅力を毎日発信している(松下さんのFacebookより)

さらに、松下さんが手応えを感じているのが、藤沢が好きな人たちが交流するグループのFacebook藤沢交流会での投稿だ。2000人以上が参加しているこのグループには、地域のお店、特に食事に関する話題を投稿するのだという。

「たとえば『どこそこのお店で食べた○○がとてもおいしかったです』と投稿すると『いいね!』が一気に付くんです。議員としての投稿だと多少はばかられる食事に関する投稿も、地域にとってはむしろ好意をもって受け入れられるんですね」と松下さん。

投稿のTPOを選ぶことで有益な情報にしていくことができるという一つの参考となりそうだ。

冒頭に述べたように観光、商業施設、住環境等でブランドを確立している藤沢市だが、その半面、大きな課題も抱えている。慢性的な交通渋滞だ。特に土日祝日には観光客と買い物客が押し寄せ、身動きがとれない状態に。地元住民にとっては、“ありがた迷惑”の問題なのだ。

そんな中、クルマは使い物にならないと、自転車での移動に切り替える住民も増えているという。松下さん自身、6年ほど前からクルマでの移動よりも、極力、自転車を使い、通勤も自転車で行くようにしている。

「自転車を自分で乗るようになって初めて、藤沢市が自転車のことを何も考えていない街のつくりになっていることに気が付きました」と語るように、事実、同市は自転車の走行空間の整備が皆無に等しかった。

以来、定例議会で自転車が走りやすい街づくりを訴え、昨年、市の計画策定の実現に結びつけている。

粘り強い交渉で歩道拡幅を実現

▲歩道が拡幅され、喜ぶ新町東町内会の皆さんと松下さん(右端)

もう一つ、松下さんが重要な課題として取り組んできたのが、歩道の拡幅だ。

JR藤沢駅と同辻堂駅間を結ぶ市道が踏切部で車道の滞留スペースとバス停確保などの必要性により、広げられており、その分、歩道が極端に狭められてしまっていた。そのため歩行者と自転車がすれ違うのがやっとという状況に住民はいつも頭を悩ませていたのだ。

そんな折、地元・新町東町内会長を任された松下さんが「何とかできないか」と動いた。今から6年前のことだった。

問題は歩道を広げるための土地の所有が私企業(ソニー)だったこと。企業としては貴重な土地という財産をそう簡単には手放すことはできない。

当時、町内会の副会長を務めていた中村清さんとともに粘り強く交渉に当たった。

やがて、通勤にバスを利用する社員が多いソニーにとっても、歩道が広がり、混雑せずにスムーズに出勤できるようになるという社側にとってもメリットがあるということが理解されたほか、拡幅工事にかかる費用は全面的に市側が持つという条件を整えたことで、ソニーは土地の提供を決断した。

そして、今年1月、拡幅工事は完成し、元の幅の約3倍近い幅員の歩道へと変貌し、住民に喜ばれている。

「すべては地域のために」耳を傾け

現町内会長の安久津修さんは「あの歩道の拡幅はソニーが自主的にやったと思っている人が多いかもしれませんが、松下さんがコツコツ地道な努力で実現してくれたものです。それを知られていないのが残念で……。『松下通り』とか、名前がつけばだれにもわかるんでしょうがね」と笑いながら話してくれた言葉に、松下さんへの厚い信頼がにじむ。

そして、「もう一度、町内会長をやってほしい」とも。

他の住民も松下さんについて、「いい意味で、議員らしくない人。全然偉そうにしないし、話しやすい」と語る。

この話しやすさ、親しみやすさが、率直な地域の課題を吸い上げ、市政へとつなげる議員としての最も重要な資質の一つであることは間違いない。

「すべては地域のために」──。

松下さんはきょうも藤沢の地を隈なく歩き、住民の声に耳を傾ける。