Local Report

地域の未来(あす)へ―貢献する議員・党員ネット発信で広がる共感

小さな命の灯を守る犬猫殺処分ゼロへ奔走

鳥取県鳥取市 桑田達也議員

それは1本の電話から始まった

その電話があったのは、2013年5月5日、鳥取市議の桑田達也議員が出張で神戸市に宿泊していた時だった。

「助けてください。猫が殺されちゃう……」

涙交じりの消え入りそうな声は何かを必死に訴えようとしていた。

「これはただ事ではない」と感じた桑田さんは真剣に耳を傾け、動揺している相手の心を一つひとつ解きほぐしながら、その訴えの真意を探っていった。

▲市民の声をどこにいても受け止めるため、タブレット端末は手放さない。対応のスピード感を大切にしている

電話の主は女子高校生で、拾って保護していた猫を祖父が勝手に保健所に処分してほしいと連れていってしまった。助けてもらえないか――という内容であることがやがて分かった。

そして女子高校生は桑田さんの三女の友達であることも分かり、なぜ自分に直接電話がかかってきたかも合点がいった。

しかし、電話を受けたのは日曜日の夜。県担当者に連絡するも不在だった。

翌朝の月曜日、再度、県に連絡を入れ、担当者に確認をしてもらうが、時既に遅し……。猫は管理棟で既に息絶えていた。殺処分されたのではなく、餌や水を与えられずに放置されたことによる死だった。

ツイートに次々と賛同者が

ペットを自ら飼い、動物と人間の深い関係性にさまざまな意味を感じていた桑田さんは、この事実に大きなショックを受け、犬猫の殺処分の実態や動物愛護活動について関心を寄せることになったという。

まずはネット検索からと調べていくうちに、「小さな命の写真展」の存在に行き当たった。

▲桑田さんのツイッターのトップページ。議員活動がつぶさに発信されている。

同写真展は児童文学作家の今西乃子(のりこ)さんの著書である「犬たちをおくる日」に収録された27枚の写真とメッセージで構成されており、今西さん自身が殺処分の現場に身を置いた実体験が生々しくつづられている。

「この写真展を鳥取でもぜひ開催させてもらいたい」と直感した桑田さんは事務局(動物愛護社会化協会)にすぐさま、要望を伝えると、話は極めてスムーズに運び、開催への道筋が開けることになった。

写真展開催の告知をツイッターで発信したところ、「ぜひ手伝わせてもらいたい」とのメッセージが次々に舞い込んだ。

さらに動物愛護の発信をする前に比べ、ツイッターのフォロワーが一気に500近く増えたという。

「小さな命の写真展」の開催

「動物愛護に関心をもっている人は少なくありません。でも活動をしたいと思っても、具体的な行動となると難しいのが実情です。その意味で、ネットは共通の関心事でつながることができるツールであることを改めて実感しました」と語る桑田さん。

▲「小さな写真展」のポスター

事実、写真展実行委員会の中心メンバーである中川京子さんの桑田さんとの出会いはツイッターがきっかけだった。

中川さんは動物愛護のボランティアを行ってきたが、その範囲は個人レベルの活動にとどまっていた。ゆえに4年ほど前から「小さな命の写真展」の存在を知っていたものの、協力者がいないなどの理由から実行に踏み切れずにいた。

そんな矢先、桑田さんの写真展開催のツイートが目に飛び込んできた。同じ価値観と目的をもった同士の出会いの瞬間だったと言えよう。

以来、協力を申し出るメンバーが続々と現れるとともに、公明党鳥取県本部内の議員の理解者も増え、開催への機運と体制が着実に整っていった。

そして、6月20日、第1回「小さな命の写真展」(鳥取市内のとりぎん文化会館)の開催が実現した。


▲第1回「小さな命の写真展」をつぶさに動画で紹介。撮影者は桑田さん自身だ


反響は大きく、平井鳥取県知事、竹内鳥取市長も鑑賞したほか、地元の各種マスメディアに取り上げられたこともあり、3日間の展示期間はほぼ来場者の人並みは絶えることがなかった。

同写真展はその後、倉吉市(2013年8月、9月)、米子市(2014年4月)でも開催。共感の輪を大きく広げている。

     

行政に対する批判が思わぬ事態に

そんなネット発信に長けた桑田さんだが、「反省すべき点もあります」とこう振り返る。
冒頭の高校生の電話によって県の動物保護の実態を知った桑田さんはそれに対する批判的なツイートをした。すると、そのツイートに反応した動物愛護に関心を寄せる人々が、鳥取県の担当課に直接クレームの電話を入れるという事態を招いてしまった。

「獣医さんや担当課長とお会いし、お話をさせてもらいました。このことがきっかけで改善されたこともあるのですが、私の不用意なツイートが要因でクレーム処理に追われることになったことは申し訳なく思っています」

公人である議員の発言はどんな言葉の断片であれ、重みがあり、その影響力は計り知れないことを改めて痛感させられる出来事だった。

災害対応で鳥取市が担う役割

1990年、前職の関係で鳥取市に移住。それから12年後の2002年に初出馬し、当選。以来、3期12年の議員活動を続けてきた桑田さんが最も大切とする信条は「弱い立場の人の視点を決して忘れない」ことだという。

母子家庭に育ち、高校は夜学で学んだ桑田さん自身の経験が、見逃されやすい弱者へのまなざしを育んだ。

人間の身勝手によって殺されなければならない運命にある動物たちへのまなざしにも通じている。

鳥取市の人口は現在、約19万3000人(2014年4月)。県庁所在地としては日本一人口が少ない。
しかも、65歳以上の高齢化率は33%と全国平均24%を大きく上回る。押し寄せる人口減少・高齢社会への対応が喫緊に求められることは間違いない。

こうした状況については桑田さんは「だからこそ議員はもっと深く現場に身を置き、地域に何が最も必要なのかを見出していく努力がますます求められる」と語り、徹して住民との対話を重ねている。

また、災害対応の危機管理の在り方についても深い関心を寄せている。

東日本大震災の折、遠野市が後方支援拠点として大きな役割を果たした“遠野モデル”を参考に、想定される南海トラフ地震が発生した際、鳥取市が後方支援を担う準備をしておく必要があると考え、議会に提案している。

動物福祉政策への転換をめざして

先月、米子市児童文化センターで開催された第4回「小さな命の写真展」には多くの親子連れが足を止め、パネルやメッセージに見入っていた。

▲「小さな命の写真展」運営メンバー。桑田さん(左から3番目)、ともに運営に携わる境港市議・田口さん(左隣)、実行委員の中川さん(右隣)ら。

写真展の入口には女優の杉本彩さんのメッセージ「『小さな命の写真展』によせて」が掲げられているが、これは桑田さんが遠山清彦衆院議員(党動物愛護管理推進委員会委員長)を通して依頼したことがきっかけとなり、杉本さんの好意で実現したものだ。

公明党は2009年10月、政務調査会に「動物愛護管理推進プロジェクトチーム」を発足。以来、犬猫の殺処分ゼロをめざし、生後間もない犬、猫の販売規制を柱とした動物愛護管理法の改正(2012年8月29日成立)のほか、地方においては、動物愛護センターの設立や動物愛護基金条例の制定など、着実に機運を高めてきた。

そしてこの5月13日、公明党の環境部会と動物愛護管理推進委員会は「犬猫殺処分ゼロ実現へ向けての提言」を環境省に申し入れを行った。

鳥取県内においても、全国初となる民間運営の動物愛護センター「人と動物未来センター・アミティエ」の開所(2013年9月)、浜辺義孝鳥取県議、鳥飼幹男倉吉市議による議会質問で動物愛護のための予算が大きく拡充されるなど、さまざまな成果となって表れている。

小さな命の灯を守ろうとする小さな声に真剣に向き合った桑田さんの行動は、公明党の一貫した取り組みに一致する。

「今後は動物愛護のための予算から、動物福祉政策への転換を鳥取から発信していきたい」と力強く語る桑田さんの眼差しは動物と鳥取市の未来を確実に見すえている。