Local Report

地域の未来(あす)へ―貢献する議員・党員ネット発信で広がる共感

「政治にとって情報は命」市民の声を議会へに徹し

山梨県山梨市 大竹裕子議員

市民相談、調査、研究でストレス解消!?

「山梨」と聞いて、即座に「フルーツ」の言葉を思い浮かべる人は少なくないだろう。中でもぶどう、もも、すももの収穫量は日本一。周囲を山に囲まれた盆地気候は夏と冬の寒暖差が大きく、果実に濃い糖度の恵みをもたらす。加えて、日照時間の長さ、富士山などから湧き出す名水がそのうまみを引き立てる。

この名実ともに日本一の「フルーツ王国」のど真ん中に位置する山梨市で、5期15年にわたって市議会議員を務めてきたのが大竹裕子議員だ。

▲「議員にとって情報は命」と語る大竹さん。モバイル機器を扱う手並みはあざやかだ

一見、小柄ゆえ、華奢(きゃしゃ)に見えるが、多くの人が、話して間もなく、バイタリティの塊ではないかとギャップを感じてしまうに違いない。 事実、大竹さんは涼しげな表情でこう言い放つ。

「私のストレス解消は議員としての活動そのものなんですよ。市政を少しでもよくするための市民相談、調査、研究……。ここに没頭していると、疲れを忘れ、気づくとストレスが解消されているんです」

さながら「情報収集の鬼」と化し、納得がいくまで徹して情報を掘り下げていくさまは周囲から常に一目置かれる存在で、行政視察の際は、他議員や職員らからも、下調べから視察行程の情報収集を任されるという。

ゆえに視察先で大竹さんが発する質問に、現地の対応に当たる担当者に、「よくぞ、そこまで調べてこられましたね」と驚かれることも。

「政治にとって、情報は命。その意味で、インターネットという情報の宝の山を使わない手はありません。というより、議員である以上、『知らない』ということはあってはならない、恥ずかしいことだと思います」と語る大竹さん。

人の心打つスピーチのこだわりは「ノー原稿」

▲「現場に足を運ばなければ、課題は見えてこない」と、積極的に視察を行う大竹さん。この日は甲府市立石田小学校の給食施設を視察。関係者と給食室と学校給食施設のあり方について、懇談した

大竹さんの初当選は1999年4月。 隣町だった旧牧丘町(2005年3月に山梨市に合併)から急きょ移転しての立候補という極めて厳しい状況での初出馬だった。

「先輩議員もおらず、地盤も皆無。全くの徒手空拳からのスタートでした。だから、がむしゃらに勉強するしかありませんでした」

中でも初出馬当時から実践している大竹さんのこだわりが、「ノーメモ、ノー原稿」によるスピーチ。 街頭演説や式典などのあいさつでは、必ず参加者の一人ひとりの目を見つめて話すと決めている。 しかも、依頼された持ち時間の半分で終わらせるのもこだわりの一つ。

「長くしゃべったからいいというものではないですし、聞く側を考えれば短い方が喜ばれるでしょう」との弁には説得力がある。

一味違った大竹さんの振る舞いは着実にファンを増やしていき、やがて「議長を」との声がかかるまでになった。

2011年3月、山梨市で初の女性議長に就任(~2012年3月)。 議長は会派に所属している議員から通例選ばれることになっていたが、3人以上の議員による会派に属さない大竹さんの推挙は異例だったという(公明は2人)。

高齢化の対応にICTの活用は不可欠

大竹さんのITとの出合いは早く、パソコンが普及するかなり以前から、前職でワープロを駆使し、さまざまな事務処理や書類作成を手掛けていた。

大竹さんが議員になった1999年はまだインターネットがようやく普及し始めたころだったが、「これからはネットの時代が来る」ことを確信し、いち早くホームページを立ち上げ、活動の記録をコツコツと発信し続けていった。

その活動は自身にとどまらず、県内の公明党の同僚議員の自宅を訪ねては、パソコンの使い方や発信の方法について、丁寧に教えて回り、さらには市の職員や同僚議員に対するIT講習も自ら買って出て、そのレベルアップに努力を重ねてきた。

しかし、その壁は厚く、なかなか行政全体の施策として実を結ぶまでには至っていないことに忸怩(じくじ)たる思いもある。

「山梨市議全議員18人のうち、ホームページを開設しているのは私を含め、たった3人しかいないんです。その将来性が少しでも分かってもらいたく、毎回のように提案するのですが……」

山梨市の人口は約3万6千人(2010年国勢調査)で、1995年から1割弱の約3千人が減少。今後、高齢化と過疎化の試練がより一層、厳しく襲いかかってくる。

「だからこそ、ICT(※)の備えをしておかなければ」と、語る大竹さんの構想はさまざま膨らんでいる。

▲“鉄道王”と称された実業家根津嘉一郎の屋敷を保存活用する施設・根津記念館前で。観光立市を目指す山梨市の目玉の一つとなっている

「医療・介護などにはきめ細かな情報の取り扱いが欠かせません。サービスの質を低下させないためには、どうしてもICTの力を生かしていかなければ成り立っていかないでしょう。さらに、山梨の重要な産業であるフルーツ生産、そしてそれを観光資源としていくことも含め、大胆なICTによる効率化と発信を図っていかなければなりません」

言葉通り、大竹さんはさまざまな機会を見出しては、ICT先進地の視察や各種セミナーに精力的に出向いて、その将来像や実現性について、熱心に研究を重ねている。

     

情報の先にかけがえのない人の暮らしがある

インタビューの最後に、大竹さんが最も大切にする信条について聞いてみた。

「市民の代弁者として、声を政治に届ける。その初心を決して忘れない」と答えてくれた大竹さん。

こだわりの情報の先には必ず人がいる、暮らしがある。

大竹さんはきょうも市民相談に市内を奔走する。

※ICT

インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー(情報通信技術)の略。IT(情報技術)とほぼ同意義だが、人と人を結ぶコミュニケーションをより重視する場合に用いられることが多い。