Local Report

地域の未来(あす)へ―貢献する議員・党員ネット発信で広がる共感

「何事も先んじて」ポリシー貫く委員会、議会報告会ユースト中継を個人で配信

埼玉県鶴ヶ島市 山中基充議員

14年間のHPに膨大な議会活動の足跡

東京・池袋駅から東武東上線で約40分、埼玉県のほぼ中央に位置する鶴ヶ島市。市名の由来は沼に囲まれた島様の丘の一本松に鶴が巣篭(すごも)ったという言い伝えによるという。

ここ鶴ヶ島市を活躍の舞台に地域のために奔走・奮闘しているのが山中基充(やまなかもとみつ)議員だ。

山中さんのネット発信の拠点は家族が自営業を営む事務所の一角にあった。決して広くはない(失礼…)ながらも、コンパクトにまとめられたパソコンラックにはさまざまな連絡先や付箋が貼られていて、市民の声に耳を傾ける姿勢がうかがわれる。

ホームページ「山中もとみつのスマッシュ通信」を立ち上げたのは2000年11月。前年4月の市議会選挙に当選し、「これからはホームページくらいはもっていないと」と当初は強い思い入れがあったわけではないという。

▲自宅のパソコンでホームページの更新作業を行う山中議員。限られたスペースながらコンパクトに機器が配置されている。

とはいえ、当時はまだインターネットがようやく生活に入り込んで間もなくのころ。アドバイスを受けられる周囲のサポートもなく、市販の参考書と首っ引きで一つひとつコツコツと作り込んでいった。

「最初にjpeg(ジェイペグ)画像を貼りつけて成功した時は、思わず、おお!と声を発してしまったほどうれしかったですね」と振り返る山中さん。

手作り感あふれるホームページのスタイルは開設から現在に至るまで一貫して変わっておらず、更新データの記録はそのまま、山中さんの14年あまりの足跡そのものといっていいほどに貴重な情報が蓄積されている。

しかも一つひとつの情報が細部にわたって説明されているばかりでなく、自身の感じたことを自分の言葉で率直に語っていることも読みごたえのあるものにしている。

ローカルマニフェスト大賞優秀賞を受賞

「何事も先んじてやりたいと思うタイプ」と自己分析する山中さんのチャレンジ精神は議会改革にも発揮された。

その一つが委員会のユーストリーム中継を個人で始めたことだった。

議会改革の推進によって傍聴規則が改正され、録音・撮影が可能になったことを受け、自前の機材を委員会室に持ち込み、セット。すべての委員会をユーストリームで流し、公開した。

「委員会室にはネットワーク回線がありませんから、党の控室から有線のLANケーブルで引っ張ってきて。まさに地を這って頑張りました」と笑う山中さん。

この努力が認められ、2011年の「ローカルマニフェスト大賞・コミュニケーション賞」の優秀賞を受賞した。

▲議会控え室にはパソコンがないので、タブレットが欠かせない。持ち込み可とさせた議場ではもはや必須ツールに。

また、議場に持ち込むことができなかったタブレット端末の持ち込みおよび利用を認めさせ、質疑の合間に必要な情報を得ることで、より討論の中身を濃くしていくことにも寄与している。

さらに、年に一度行われている議会報告会のユーストリーム中継も山中さんが自前で行っている

期を重ねるごとに大きく票を伸ばす

山中さんは現在4期目で、初当選は1999年、36歳の時。1216票で4位(定数24)だった。

「正直、右も左も分からない、議会が年に何回開かれているのかも知らない中での出発だったので、とにかく必死に勉強しました。わからないことを一つひとつ市役所の職員に頭を下げて教えてもらう毎日でした」

初当選した選挙でのトップ当選した他党議員は地域が重なっていて、「あの議員の強さは何だろう……朝の駅頭演説をしているからだ」と気づいた山中さんは2000年2月から朝の駅頭演説をスタート。

▲「これからも市政、行政の情報開示を積極的に進めていきたい」と語る山中さん

市政のことを知ってほしい、議会を見に来てほしいという熱い思いで来る日も来る日も仕事に急ぐ市民の背中を見送りながら、必死に語りかけた。

その努力は見事に実り、2期目挑戦の2003年選挙で1408票でトップ当選を果たした。

さらに3期目は1776票の2位。4期目は2043票でトップ当選と、選挙ごとに票を大きく伸ばしている。

「当たり前のことをやっているだけです」と謙虚に語る山中さんだが、その人柄に加え、すべてに全力で取り組む山中さんのファンが着実に増えていることは間違いなさそうだ。

思い違いの発信による失敗が大きな教訓に

そんな順風満帆に見える山中さんにもネット発信で失敗してしまったことがあったという。

他党の国会議員の不祥事に関する記事をブログに書いた内容のうち、事実とは異なったことを思い違いで書いてしまった。

このことがかえって自身への批判となって返ってきてしまい、ひと月にわたってさまざまな非難のメールが寄せられた。

山中さんは非を認め、すべてのメールに平身低頭の謝罪をすることに追われたという。

「自分のホームページなど、だれも見ていないだろう……などと思っていたのですが、こういうことにはネット社会は敏感に反応をするのだということを知り、反省をするとともにいい勉強になりました」

今、山中さんが取り組んでいるのが行政が保有・蓄積しているデータを開示し、市民の生活向上のために役立てるオープンデータの推進だ。

「たとえば市内にあるAEDやトイレの位置などのデータをグーグルマップなどと連携させて、公開していくことで、ここから一番近い公衆トイレはどこ?などの情報が簡単に手に入れられるようにしたい」

山中さんの「何事も先んじて」のポリシーは、「市民のため」という思いに貫かれている。