臍帯血移植はなぜすぐれてるの?
臍帯血とは赤ちゃんが生まれたあと捨てられていた胎盤(たいばん)の中にある血液のことです。この中にある血液をつくる基になる細胞、これを造血幹細胞といいます。この造血幹細胞の力がすばらしい力を持っているのです。
臍帯血の中にある造血幹細胞を患者さんの体の中に入れてあげることによって、骨髄(こつずい)移植と同じような、それ以上の効果があります。これまで、どういう病気に移植されたかというと、白血病や再生不良性貧血という私たちが比較的知っている病気もありますし、聞いたことのないような病気も何十種類とあります。普通は見捨てられていく命でしたが、この臍帯血によって何十種類という病気の人たちが助かっています。
アメリカでは乳がんの治療にもこの臍帯血が使われていますし、いろいろな病気にも臍帯血を用いた治療が進んでいます。
- 骨髄移植の時にはだいたい大人で1リットルの骨髄液を採取します。牛乳の1リットルパックの箱を想像していただけば分かると思いますが、これはかなりの量です。それだけドナーの負担が大きいということです。臍帯血は80ccから100ccあれば大人の患者さんにも十分役に立ちます。ヤクルトの小さなあのパック。その中にある細胞の数や量がほぼ同じなんです。臍帯血の力強さが分かると思います。
- 血液の基になる細胞ですから、白血球や赤血球や様々なものがつくられますが、その一つひとつの細胞が自分で自分をつくっていく。そのテンポが速いのです。
また、臍帯血は冷凍保存が可能であり、必要時すぐに使用が可能など、取り扱いが容易というメリットもあります。
- 拒絶反応が軽度で済み白血球のタイプが一部不一致でも移植可能なケースが多々あります。
ただ、血液は同じ型でなければ使えません。骨髄では白血球の6つのタイプ、HLAといいますが、この6つのタイプが全部合わないと使えないのですが、臍帯血では1つ合わなくても、2つ合わなくても使えます。
日本では今、2つ合わないタイプを使った移植も進められています。アメリカでは3つ、4つ合わなくても使っていますが、これでも患者さんは助かっています。