官製談合防止法の制定

命懸けで勝ち得た法制化
公明党案がベースに。今回の改正で「罰則」も創設


福島、和歌山、宮崎の前・現県知事が相次いで逮捕され、国民の怒りが爆発

社会的な批判の高まりで、捜査当局の追及の手は確実に厳しくなっていた。

2006年10月、福島県の前知事が県発注の公共工事をめぐる談合事件に絡み逮捕された。11月には和歌山の現知事、12月には宮崎の前知事も逮捕された。業者間の談合は昔から言われていたが、発注側の自治体トップが官製談合に手を貸す不正行為は極めて悪質だ。

官製談合とは、公共工事発注の際、公務員らが事前に入札価格を受注業者に漏らし、業者間の談合に関与する不正行為。業者側は事前に入札価格を知ることで安くスムーズに落札でき、「官」側は金品や天下り先などの見返りを得られるという“腐敗の構図”だ。そんな官製談合に初めてメスを入れる法律が成立したのは、02年7月だった。

官製談合防止法の適用 2003年1月30日:岩見沢市が発注する建設工事の入札参加業者に対する勧告(相手方:岩見沢市長) 2004年7月28日:新潟市が発注する建設工事の入札参加業者に対する勧告(相手方:新潟市長) 2005年9月29日:日本道路公団が発注する鋼橋上部工工事の入札参加者らに対する勧告(相手方:日本道路公団総裁)

01年2月、公明党は官製談合防止法案の骨子を発表。前年夏から、党政務調査会の経済産業部会長を務める衆院議員の久保哲司が中心になり、作業してきたものだった。翌3月、与党入札談合防止プロジェクトチーム発足。公明党から久保ら3人が参加し、公明党案をもとに議論を開始した。

だが、道のりは険しかった。「各省庁がどう考えるか」「自治体の意見も聞かなきゃいかん」「業界の意見も聞こう」。自民党の声には、先延ばしの思惑が透けて見えた。

久保は諦めなかった。党職員らと協力し、一つ一つ反論資料を作った。作業が夜中に及ぶことも多かった。そんな中、自民党や民主党の国会議員秘書に絡む疑惑事件が起き、新たな腐敗防止策を求める世論の“追い風”が起きた。公明党は幹部会合を開いた。久保も呼ばれていた。「今がチャンスだ。一気呵成に自民党を説得しよう」。全員の認識が一致した。

その後の政府・与党の会合で代表の神崎武法は訴えた。「自民党内の手続きを早急にまとめてもらいたい」。幹事長の冬柴鉄三もたたみかけた。「今国会での成立をお願いしたい」。与党プロジェクトの議論は18回を数えた。ついに02年6月に法案を国会提出し、7月に官製談合防止法は成立した。公明党の骨子発表から約1年半が過ぎていた。

翌03年1月、公正取引委員会は、北海道岩見沢市の発注工事を巡る談合で同法を初適用した。

同年6月、病床にあった久保は還らぬ人となった。生前、久保は語った。「粘り強い取り組みがあったればこそ日の目を見た。だが、この法律ができたこと自体、決して喜ばしくもなく、ほめられたことでもない」

前宮崎県知事が逮捕された06年12月8日、国会で与党提案の官製談合防止法改正案が可決・成立した。談合に関与した公務員らに「5年以下の懲役または250万円以下の罰金」という罰則規定が創設された。

久保が命懸けで取り組んだ法律は着実に育っていた。

文中敬称略、肩書は当時
2006年12月15日 公明新聞