ドクターヘリの拡充

多くの尊い命を救いたい
公明党案ベースに法制化期す

ドクターヘリの装備などについて話を聞く浜四津代表代行ら(2004年4月26日 千葉北総病院)

「浜四津さ~ん! 娘の命が助かったんです。公明党のおかげです!」

2004年7月9日夕刻。JR津田沼駅前(千葉県船橋市)で街頭演説を終えた代表代行の浜四津敏子に支持者の星野ひろみさんが駆け寄った。

携えた手紙には、小学6年生の長女・未稀ちゃんがドクターヘリによって一命を取り留めた様子が書かれていた。

その前月の20日。未稀ちゃんは救急車で船橋市立医療センターに搬送された。小児ぜんそくを患う未稀ちゃんは水ぼうそうにかかり、歩行すら困難に。精密検査は4時間に及んだ。「症状があまりにひどく、うちでは処置できない」と医師。一分を争う中で、東京・世田谷区の国立成育医療センターが受け入れ先に。

同日16時、日本医科大学千葉北総病院にドクターヘリ出動を要請。5分もたたずに隣の市立体育館グラウンドに着陸したヘリは、わずか15分で成育医療センターに到着。未稀ちゃんは直ちに集中治療室に運ばれた。

主治医は「末期肺がんの疑いもあるが、ウイルス性肺炎の可能性も否定できない」と診断。23日まで肺炎の薬を投与し、効果がなければ抗がん剤に替えることに。

未稀ちゃんは生死の境をさまよい続けた。だが23日、薬の効果が表れ、抗がん剤投与は必要なくなった。

「ドクターヘリで搬送され、すぐ治療に入れてよかった」。医師や看護師は口々に語り掛けた。7月2日、未稀ちゃんは無事、退院した。

ドクターヘリと救急車の30分の行動圏の比較 千葉北総病院から救急車は距離約20~25kmまで、ドクターヘリなら約50kmまで。

ドクターヘリは医師や看護師が搭乗し、事故現場や機内で医療を行えるのが最大の特徴。欧米では全国配備が進み、64カ所にヘリ拠点を持つドイツでは「救急医療は15分以内に始めなければならない」という「15分ルール」が州の法律で定められている。

日本はどうか。公明党の強力な推進で、ようやく01年度から本格導入を開始。この年、千葉北総病院など5県で導入されたが、立ち遅れはあまりに大きい。

このため公明党は、03年の党マニフェスト(政策綱領)に「ドクターヘリを10年後に全都道府県に配備する」と明記。翌年12月には党内に「ドクターヘリ全国配備推進プロジェクトチーム」を設置し、座長・渡辺孝男を中心に、全国配備のカギを握る費用負担のあり方などを定める法案づくりを急いだ。

同PTは06年7月、独自の法案骨子を発表。警察庁長官、スイス大使を歴任した國松孝次・救急ヘリ病院ネットワーク理事長から「ヘリ運航費の保険による支給が明記されていることは重要」と高く評価された。

与党は11月、公明党案をベースに法案要綱を決定した。

「ドクターヘリの全国配備で、多くの命を救いたい」――公明党は断じて07年の通常国会で法制化を実現する決意だ。

文中敬称略、肩書は当時
2006年12月29日付 公明新聞

全国配備へ着々と導入進む
13分で阪大病院へ。迅速な処置が生死分ける


両親と笑顔で話す快士君

「息子さんの快士君がトラックにはねられました」――。町の8割を山林が占める大阪府能勢町。この町に家族5人で暮らす林雅美さんの元へ、学校の担任から電話がかかってきたのは、今年4月9日の午後だった。

快士君は町立久佐々小学校の6年生。学校から帰宅後、自転車で遊びに向かう途中、大型トラックにはねられ、頭部を強打。意識不明の重体だった。

一刻も早い治療を必要とする中、事故現場近くのグラウンドに着陸したドクターヘリで、高度救命救急センターのある大阪大学医学部附属病院(吹田市)に搬送。同病院へは救急車を使うと片道1時間近くかかるが、ドクターヘリならわずか13分。移動中も救急隊員による懸命の救命処置が行われた。

一方、病院に駆け付けた両親は、変わり果てた息子の姿に涙が止まらなかった。「もう快士の笑顔を見ることはできないのか」。診断の結果は外傷性脳挫傷。脳内出血、頭蓋骨折に加え、肺挫傷、肝臓出血によって極めて危険な状態だった。

内視鏡による血の塊の除去など素早い高度救命処置が功を奏し、快士君の容体は少しずつ回復。6月12日には転院し、リハビリを行えるまでになった。

阪大附属病院の医師は両親に語った。「もし処置がもう少し遅れていたら危なかった。ドクターヘリのおかげで迅速な搬送・処置ができたことが生死を分けました」。快士君は6月末、晴れて転院先の病院を退院した。

公明党は2003年のマニフェスト(政策綱領)にドクターヘリの全国配備を掲げて導入を推進。08年11月10日現在、13道府県に計14機が配備されている。大阪府でも公明党の取り組みによって08年1月からドクターヘリの運航を開始。今後、青森、群馬、沖縄にも配備が決定している。

9月20日。快晴の下、久佐々小学校の運動会が行われた。そこには元気いっぱい組体操をする快士君の姿が。「将来の夢はリハビリの先生になることです」。快士君の顔から満面の笑みが溢れた。

文中敬称略、肩書は当時
2008年11月17日付 公明新聞

全国に広がるドクターヘリ


1月から滋賀県が大阪府と共同利用するドクターヘリ

“空飛ぶ救命救急センター”と呼ばれるドクターヘリ。公明党の推進により、全国で着実に配備が進み、2012年度中に、全国38都道府県まで広がることが、公明新聞の調査で明らかになった(表1参照)

今年4月以降に新たに導入した県は、兵庫、京都、鳥取(3府県の共同運航)、茨城の4府県。現在、県単独で導入せず、他県と協定を結んでカバーするなどの広域連携を含めると、23機のドクターヘリが27道府県で、また東京都では都独自の「東京型ドクターヘリ」が活躍している。今後12年度までに、新たに14県が導入を計画しており、事実上、38都道府県で運航することになる。

表1 全国のドクターヘリ運行状況 導入済み(他府県と共同運航など含む):北海道、青森、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野、静岡、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、岡山、福岡、佐賀、長崎、大分、鹿児島、沖縄 12年度までに導入予定(他府県と共同運航など含む):岩手、秋田、新潟、岐阜、滋賀、島根、山口、高知、熊本、宮崎 東京は独自の東京型ドクターヘリを導入 表2 都道府県別搬送件数 北海道630件、青森215件、福島371件、栃木45件、群馬323件、埼玉274件、千葉981件、神奈川340件、長野357件、静岡954件、愛知508件、大阪98件、和歌山387件、岡山402件、福岡378件、長崎563件、沖縄285件、合計7111件(09年度)

新たに計画している県は、今年度中が岐阜、山口、高知、滋賀(大阪と共同利用)、11年度中が秋田、三重、島根、熊本、宮崎、鹿児島、12年度中が岩手、山梨、新潟、大分|の計14県。このうち山梨、三重、大分、鹿児島の4県は現在、一部地域において、他県との共同運航などでドクターヘリを活用しており、さらに救急救命体制を強化するため、県単独の導入をめざしている。

厚生労働省によると、09年度1年間のドクターヘリの搬送件数は全国17道府県で7111件(東京都は除く)に上る(表2参照)。1機当たり平均338件で、1日平均19回出動しており、脳卒中や心臓発作の患者、交通事故負傷者など、1分1秒を争う重篤、重症患者の救命活動に従事している。また、各県のドクターヘリが、配備していない県の患者を搬送するケースもある。

公明党は阪神大震災での教訓などを踏まえ、いち早くドクターヘリの早期導入を強く主張し、ドクターヘリの全国配備を03年のマニフェストに掲げ、全力で推進。国レベルで、ドクターヘリの全国配備を推進する「ドクターヘリ法」の制定(07年6月)をリードする一方で、地方議会の公明議員が定例会質問などで、ドクターヘリの導入を積極的に提案するなど、国と地方のネットワーク力を生かし、全国配備の“原動力”として推進役を果たしてきた。

初出動で重傷者搬送 群馬県
車で80分の距離を7分で

昨年2月20日、群馬県東吾妻町で家業の製麺所を手伝う高橋光子さんは、製麺機に右手中指と薬指を挟まれ、指先を切断する重傷を負った。

駆け付けた救急隊は、同県が2日前に導入したドクターヘリの要請を決断。初出動となったドクターヘリは、前橋赤十字病院まで救急車だと1時間20分かかる道のりを約7分で搬送した。医師の的確な治療により、現在、生活に支障はなく、爪も生えてきているという。

高橋さんは「救急隊が勇気を出して要請してくれてありがたかった。ドクターヘリに本当に感謝しています」と喜びを語っている。

文中敬称略、肩書は当時
2010年12月14日付 公明新聞