難病関連2法、改正鳥獣保護法が成立

田村憲久厚生労働相(中央)に難病対策で申し入れる党推進本部=昨年12月 厚労省
田村憲久厚生労働相(中央)に難病対策で申し入れる党推進本部=昨年12月 厚労省

23日の参院本会議で、難病対策を総合的に進める難病関連2法(難病医療法、改正児童福祉法)と、野生動物の適正管理を目的とした改正鳥獣保護法が可決、成立した。いずれも公明党が推進し実現したもので、法律の内容を紹介する。

難病関連2法
助成対象が大幅に拡大 相談、就労支援も充実

難病関連2法では、難病や子どもの難病(小児慢性特定疾病)に対する医療費助成を大幅に拡充し、総合的に支援する。難病は、1972年に国が「難病対策要綱」を制定して以来、法律に基づかない研究事業として医療費助成が続いていたが、初めて法制化された。施行は来年1月の予定。

今回の難病支援は、社会保障と税の一体改革の一環。消費税率引き上げによる増収分を活用し、公平で安定的な医療費助成制度を確立する。併せて、医療提供体制や相談、就労支援なども充実させる。

新制度で難病の対象となるのは、(1)原因不明(2)治療方法が未確立(3)患者数が人口の0.1%程度以下―などの条件を満たす疾患だ。助成対象の疾患は現行の56(受給者数約78万人)から約300(同150万人)まで拡大する。外来と入院を合わせた自己負担割合は現行の3割から2割に引き下げられる。負担限度額は所得に応じて異なり、最高で月3万円。

小児慢性特定疾病は、助成対象が現行の514(同11万人)から約600(同15万人)に広がる。自己負担は大人の半額程度。

既存の助成を受けている患者に一定の負担を求める場合もあるが、人工呼吸器をつけるなど極めて重症な患者については、所得にかかわらず自己負担を月1000円とした。

公明党はこれまで、患者団体との意見交換を続け、その声を基に負担増の抑制を訴えるなど、党を挙げて難病対策を推進してきた。

改正鳥獣保護法
被害防止へ捕獲を強化 狩猟者増やし規制緩和

改正鳥獣保護法は、増えすぎたシカ、イノシシなどが農作物や生態系に深刻な被害を与えている事態を改善するため、捕獲を強化する内容。個体数が著しく増加したり、生息地が拡大したりしている有害鳥獣を減少させる計画を都道府県が策定するよう規定した。

また、狩猟免許取得者の減少・高齢化を踏まえ、捕獲の専門事業者を都道府県知事が認定する制度を創設。捕獲を担ってきた猟友会のほか、警備会社などの参入を想定し、効率的な捕獲体制の実現をめざす。網やわなを使った猟の免許が取得できる年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げ、若い人材の確保も進める。

このほか、人里に下りてきた鳥獣が人間に危害を加える事例の増加を踏まえ、都道府県知事の許可を受けた場合は、住宅地での麻酔銃の使用を容認。十分な安全体制を取っていると確認できた場合に限って、都道府県や国から捕獲事業の委託を受けた認定事業者に夜間の猟銃使用を認めた。

鳥獣による農作物の被害額は年間200億円前後で推移。被害の7割はシカ、イノシシ、サルによるもので、国はこれらの個体数を今後10年間で半減させる計画に乗り出している。

なお、衆参両院の環境委員会での法案審議では、国による自治体への財政支援や夜間銃猟の安全対策徹底などを求める付帯決議が採択された。

鳥獣保護法の改正に関して公明党は、「野生鳥獣による暮らしと生態系への被害対策を推進する」との立場で尽力してきた。

2014年5月24日付 公明新聞