この地で伝統守り抜く

公明新聞:2018年5月2日(水)付

オープン初日、来場者でにぎわう作品のギャラリー=4月30日 福島・いわき市オープン初日、来場者でにぎわう作品のギャラリー=4月30日 福島・いわき市

震災後に避難 大堀相馬焼の工房再び
福島・浪江町→いわき市

300年以上の歴史を持つ伝統工芸の工房が“堂々再建”――。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県浪江町から避難を強いられた大堀相馬焼の「陶吉郎窯」が4月30日、同県いわき市で再出発した。オープン初日には、福島復興への願いを乗せ、多くの人が集まった。

職人魂で故郷の登り窯

かつての美術館を改修したモダンな空間に、白や青、漆黒の力作がズラリと並ぶ。その数、約500点。「とても鮮やか」「このコップなら娘が気に入るはず」。ひっきりなしに訪れる来場者は、作品にじっと見入り、手を伸ばしていく。

マグカップやお皿を買い求めた横山雄保さんは「先祖代々守ってきた土地を震災で失いながらも、前向きに挑戦する姿が励みになる」と笑みを浮かべた。

「これは新しい登り窯で焼き上げたもの」と窯元の近藤学さん(64)と息子の賢さん(37)。新作を紹介する様子にも、喜びがにじむ。「震災から7年、やっとスタートラインに立てました」

3.11の後、産地の浪江町大堀地区は、放射線量が最も高い区域になった。いまだ先行きは見通せない。二十数軒を数えた窯元も散り散りに。「伝統産業にとって土地を離れることは致命傷」(学さん)といわれる中、いわき市に仮工房を構え、作陶を再開させた。

ただ、本格的な活動を模索するうち陶吉郎窯の伝統で、自然な色合いが表現できる登り窯を再び求めるように。二人は土地の選定や資金繰りに奔走し、故郷の工房に負けないほどの機能の施設を市内に整備した。

敷地内には登り窯をはじめ四つの窯や、作品が鑑賞できるギャラリーを完備させた。将来的には、陶芸教室を開く構想も膨らませている。

公明と官民合同チームが尽力 「とても心強かった」

復活した「登り窯」の前で再出発を喜び合う安部県議と近藤さん親子この日まで近藤さん親子を陰で支えたのは、公明党の安部泰男県議だった。「新天地での本格再開を後押ししたい」と二人のもとに足しげく通い、補助金の申請などを助言。浜田昌良復興副大臣(公明党)とも連携し、何度も相談に乗った。

高木陽介前経済産業副大臣(同)が強いリーダーシップで立ち上げた、被災事業者を支援する「福島相双復興官民合同チーム」も力を尽くした。近藤さん親子が震災後初の「父子展」を開催する際、インターネットを通じた資金調達を提案。情報拡散やチラシ作成も手伝い、目標額を大きく突破。イベント成功や全国へのファン拡大につなげた。

「ここまでこられたのは、公明党と官民合同チームのおかげ。とても心強く、いつも安心感があった」と学さんは目を細めて振り返り、言葉を続ける。

「この地で大堀相馬焼の看板を背負い、伝統を守っていく」。こう学さんが職人魂をみなぎらせると、賢さんも「今までの経験にとらわれず、登り窯でしかできない作品にチャレンジしたい」とキッパリ。

新たな伝統を築きゆく二人の歩みは、始まったばかりだ。

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