学習支援 高校中退者に

公明新聞:2018年5月1日(火)付

困窮世帯対象、公明が推進 進学後押しや就労相談

生活困窮世帯の子どもへの学習支援の対象拡大生活困窮世帯の子どもに手厚い支援――。厚生労働省は2018年度予算で、経済的に苦しい家庭の子どもに対する「学習支援事業」を拡充し、高校中退者らを含む10代の「高校生世代」の進学や就労に向けた支援を強化する。十分な教育を受けられずに貧困が親から子へ受け継がれる「貧困の連鎖」を防ぐ観点から、公明党が推進した。

学習支援は、15年施行の生活困窮者自立支援法に基づき、福祉事務所がある自治体が任意で行う事業。17年度では該当する902自治体のうち、過半数の504自治体が取り組み、ボランティアが無料で勉強を教えたり、放課後の居場所を提供したりしている。利用者は16年度で約2万人。

従来、学習支援は高校進学支援などに主眼が置かれており、中学生が利用者の6割超を占める。一方で、高校生や高校中退者、中学卒業後に進学も就労もしていない子どもへの支援の不足が指摘されていた。

そこで今回の拡充では、自治体の支援員の増員などにより、困窮世帯の高校生世代が希望する進路を選べるよう後押しする。支援員は元教員などを想定しており、高校生や進学を希望する中退者には基礎学力の習得や授業のフォローアップを実施。就労を考える中退者には就職情報の提供などを行う。中学卒業後、進学していない子どもには、生活習慣の改善や孤立感の解消などの手助けをする。

18年度小学生の巡回訪問も実施

このほか厚労省は、貧困の連鎖を防ぐには早い段階からの支援が重要であるとして、小学生への支援も充実させる。親の事情で学童保育に通えない子どもがいる家庭などに支援員が巡回訪問し、早寝早起きや宿題を行う習慣づくりで助言したり、子育てについて親からの相談に応じたりする。

なお、今国会で審議中の生活困窮者自立支援法等改正案には、学習支援事業を強化し、生活習慣や家庭環境の改善に関する助言などを事業内容に明記する改正も盛り込まれている。

公明党は、昨年11月に政府へ提出した「人づくり」に関する提言で、学習支援事業について、高校中退者を含む高校生世代にまで対象を広げるよう要請。学習支援を通じた家庭全体への支援も訴えていた。

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