主張NPTと核軍縮 核禁条約の理念生かす議論を

公明新聞:2018年4月23日(月)付

2020年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた準備委員会が、きょうから来月4日までジュネーブの国連欧州本部で開催される。

昨年7月に国連で核兵器禁止条約(核禁条約)が採択されてから初となるNPTの会合であり注目を集めている。

5大国に核保有を認めているNPTの中で、「核の非人道性」を根拠に核を違法化した核禁条約がどのように議論されるのか。核保有国と核禁条約を推進した国々とが対立して終わることなく、現実的で確実な核軍縮への道を開く必要がある。

核禁条約はNPTを否定していない。また、核保有5カ国もNPTの中で核廃絶への明確な約束をした事実がある。究極の目標が共有されている以上、そこに向かう道筋を探る議論こそが重要だ。核禁条約の「核の非人道性」の理念は、NPTでの議論の土台にされるべきである。

唯一の戦争被爆国である日本は、核廃絶をどの国よりも強く訴えなければならない立場である。しかし同時に、安全保障を米国の「核の傘」に依存している現実もある。

そこで日本は、核禁条約を巡って対立している非核保有国と、核保有国・核依存国の間の橋渡し役をめざして行動してきた。日本が独自に昨年設置した、核保有国と非核保有国の有識者からなる「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」もその一環である。

先月末に賢人会議は提言をまとめた。提言を受け取った河野太郎外相は、準備委員会に出席してNPT加盟国に示す予定だ。

提言で注目されるのは、核抑止論という「困難な問題」に取り組む議論の必要性を訴えたことだ。核抑止論とは、核があるからこそ大戦争が阻止されるという理論で、賛否が厳しく対立してきた。

その核抑止論について正面から対話をする中で、核廃絶実現への共通の基盤が作られるとの考え方を賢人会議は示した。さらに、対話の過程で核保有国に対し(1)核戦争遂行のドクトリン(基本戦略)を控える(2)核使用の脅威を基礎にした威圧的行動を控える――ことを求めた。

この議論の実現は大きな挑戦である。政府は橋渡し役として全力を挙げてほしい。

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