主張水道事業の民間運営  安心して参入できる環境整備を

公明新聞:2018年4月19日(木)付

衛生的で安全なわが国の水道水。世界に誇るこのインフラ(社会資本)を将来にわたり維持しなければならない。

公共施設などの整備促進に民間資金を活用するPFI(民間資金活用による社会資本整備)法の改正案が、衆院内閣委員会で審議されている。

改正法案は、公共施設の管理者と民間事業者に対する国の支援機能強化を盛り込んでいる。人口減少が進む中、効果的にインフラを整備し、行政サービスを確保する上で、改正法案の意義は大きい。

特に注目すべきは、上下水道や公共施設の運営を民間に委ねるコンセッション事業の促進に関する規定だ。

同事業は、PFI事業の中でも採算性が高く、経済的な波及効果もあるとされている。仙台空港などで導入され、一定の成果が出ている。

上下水道にも、コンセッション方式導入の期待が集まる。水道事業を担う自治体の多くが、料金収入や職員数の減少などの課題に直面しているからだ。実際、静岡県浜松市では今月から、同方式で下水道の運営が始まった。

だが、全国的に見ると、まだまだ導入が進んでいるとは言い難い。

この点、改正法案は、煩雑さが指摘されている手続きを簡素化することや、自治体が国から借りた運営資金の繰り上げ返済を認め、本来支払うべき補償金も減免する規定を設けており、評価できる。

国会審議の中では、コンセッション事業を巡る課題を洗い出し、どうすれば現場の声に応えられるかという視点で議論を深めてほしい。

「地中に埋まっている管路の状態を正確に把握するための資料が不足し、管路の維持管理、更新にかかる事業費を正確に見積もることが困難」。これは、コンセッション事業の本格参入をためらう民間事業者の声だ。PFI法改正案の審議入りの際、公明党議員が質問で紹介した。

こうした意見に丁寧に応え、民間事業者が安心して参入できる環境を整備していくことが何よりも重要である。

その具体策として、公明党議員は同質問で、管路の台帳と管路修繕の履歴を連携させる電子データ化の必要性を強調した。国の積極的な後押しを求めたい。

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