主張スクールロイヤー いじめ防止へ法律家の役割重要
公明新聞:2018年4月17日(火)付
生徒間のいじめや保護者とのトラブルなど、学校で起きた問題の解決に向け、法的なアドバイスを行う弁護士「スクールロイヤー」が注目されている。
米国では既に普及しているが、日本での導入に向け、2018年度予算に調査研究事業が盛り込まれた。公明党もスクールロイヤーの配置を昨年の衆院選重点政策で訴えている。
スクールロイヤーの役割で最も期待されるのが、いじめ問題への対応である。
文部科学省によると、16年度に小中高校などが認知したいじめは、32万3143件に上り、過去最多となった。いじめが原因と見られる自殺も絶えない。極めて深刻な事態であり、いじめ対策は喫緊の課題である。
この点、スクールロイヤーには「予防教育」と「法令に基づく対応」が求められる。
このうち予防教育については、裁判例を示しながら「いじめは重大な人権侵害」「刑事罰の対象になり得る」といったことを子どもに教えるよう学校側にアドバイスする。
実際、予防教育に取り組んだ学校では、いじめが絶対にいけないという方向に子どもたちの意識が変わったとの事例もある。
法令に基づく対応としては、重大ないじめが起きた場合、学校に報告や調査を義務付けた「いじめ防止対策推進法」に基づく対応が徹底されているかを確認する。教職員が法令に詳しくないことが事態を悪化させている例も少なくないだけに、スクールロイヤーの役割は重要だ。
いじめに限らず、学校からのさまざまな相談に法律の専門家の立場から助言をすることも期待されている。
参考になるのが、大阪府が13年度から独自に実施している事業だ。府内の公立小中学校の求めに応じて、9人の弁護士が法的な助言を行っており、学校側に不信感を持つ保護者との関係改善などに役立っている。
スクールロイヤーの存在は、教員の負担軽減の面からも大きな意義があろう。ただ、忘れてはならないのは、あくまでも中立の立場で対応することである。“学校の味方”と見られては、子どもや保護者の信頼は得られまい。
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