成年後見 「欠格条項」を削除
公明新聞:2018年4月14日(土)付
成年後見制度を利用して被後見人や被保佐人になると同時に失職したり、資格が取り消されたりする法律上の「欠格条項」規定を一括して削除する「成年被後見人等権利制限適正化法案」が閣議決定され、関係者から今国会での成立が期待されています。その意義やポイントについて、公明党成年後見制度促進プロジェクトチーム(PT)の大口善徳座長に聞きました。
―なぜ、欠格条項の削除が必要ですか。
大口善徳座長 成年後見制度は、認知症や知的障がい、精神障がいなどで判断能力が十分でない人の財産や権利を法律的に守る制度です。にもかかわらず、利用すると一律に公務員や警備員の職を失ったり、医師や介護士の資格を失ったりするのはおかしい。かえって制度を利用する人の権利を制限しています。
―実際に仕事や資格を失った例はありますか。
大口 各地に存在します。中には、国を相手に訴訟を起こすケースもあり、障がい者団体などからは、早急な対応が求められてきました。
そもそも、成年後見制度は財産管理能力に着目した制度であり、各資格や職種に求められる能力とはズレがあります。同制度を利用しただけで排除されてしまうのでは、能力を発揮する機会を奪われているといっても過言ではありません。
―見直しのポイントは。
大口 国家公務員法や医師法など188本の法律を一括して改正し、制度利用者を一律に「職務不適格者」として排除している仕組みを改めます。そして、試験や面接などで、それぞれの心身の状況に応じ、職務に必要な能力の有無を判断する個別審査を設けます。これにより、制度利用者が自動的に仕事を奪われることはなくなります。
―公明党はどう関わってきましたか。
大口 党PTとして、約5年半にわたり議論を重ね、権利制限適正化法案の基となった成年後見制度利用促進法の制定を実現したほか、制度利用者の選挙権回復などにも力を尽くしてきました。
また、党の強い主張が反映され、適正化法案の付則には、今回は対象外となった会社法と一般社団・財団法人法の2法の欠格条項についても、公布後1年以内を目途に削除することが明記されました。
―今後の動きは。
大口 欠格条項が削除されれば、成年後見制度を利用しながら働く人が増えると期待されます。党として、判断能力が十分でない人が働きやすい環境の整備を進めていきます。そのためにも、何としても、今国会での適正化法案の成立をめざしたいと考えています。
公明新聞のお申し込み
公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。