線路と道路を走行する車両 DMV 本格運行めざす

公明新聞:2018年4月7日(土)付

試乗会で使われたJR北海道から借り受けたDMVについて説明を聞く古川、長尾の両県議試乗会で使われたJR北海道から借り受けたDMVについて説明を聞く(右から)古川、長尾の両県議

2020年実現へ 世界初の試み
徳島・海陽町と高知・室戸市結ぶ

徳島県では、線路と道路を一台で走行できる車両「DMV(デュアル・モード・ビークル)」の世界初となる本格運行に向けた動きが始まっている。観光振興やローカル線の活性化を目的に、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年の実現をめざす。DMV導入については、公明党県議団(長尾哲見代表)が一貫して推進してきた。

公明の提案が具体化

徳島県では、公明党県議団が05年にJR北海道のDMVを視察し、06年2月定例会で観光振興に生かすことを提案。第三セクター「阿佐海岸鉄道株式会社」の四国東南部を走る阿佐東線(徳島県海陽町・海部駅~高知県東洋町・甲浦駅)から高知県室戸市までを結べば、点在する観光地の周遊などが可能になるとして導入を求めていた。

DMVは“異なる二つの走行ができる車両”という意味。徳島県で導入されるDMVは、バスをベースに改造して列車の金属製車輪を付け加えた構造で、製造コストが安価な上、列車よりも重量が軽いため燃費もいいのが特長だ。

DMV導入は約70年前、ドイツや英国で構想が練られ、日本でも国鉄時代から検討されてきた。04年、JR北海道が約15秒でバスと列車のモードチェンジが可能な車両の開発に成功した。

観光振興、地域活性化に期待

公明党の提案などを受け、県は「DMVは車両自体が観光資源にもなり、県全体の活性化につなげられる」との考えを表明。16年3月には、徳島県や高知県、関連自治体などで構成された「阿佐東線DMV導入協議会」(会長=瀬尾守徳島県県土整備部長)が発足した。17年1月には、徳島県の飯泉嘉門知事が「本格運行に向けて県の予算を計上する」と明言。同年2月の第2回会合で、20年の実現をめざすことが決まり、本格的な整備への動きが始まった。

DMVの運行区間案同協議会によると、DMVの運行案は徳島県海陽町から高知県室戸市までの区間。海陽町から室戸市方面に向かう場合、列車モードで起点のJR四国牟岐線・阿波海南駅を出発し、阿佐海岸鉄道・海部駅、同宍喰駅を経て、終点の同甲浦駅まで約10キロを鉄道で走行。甲浦駅ではバスモードにチェンジし、室戸市方面へ観光周遊などで走行する。具体的なルートは今後、同協議会が検討していく。

また、DMVを受け入れるため、阿波海南駅では線路と道路を自由に出入りできるようにする接続施設の設置工事が来年度実施され、高架構造の甲浦駅は、一般道に進入できるスロープを建設する工事が、今年度着手される予定。

阿佐海岸鉄道ではこのほど、DMV運行開始に備えて約26年ぶりに3人の運転手を採用。3人は入社後、列車やバスの運行免許の取得に向けた研修を受けるという。

また、徳島県や関連自治体が連携し、JR北海道から借り受けたDMVの試乗会を今年1月まで開催。県によると、鉄道ファンや周辺住民が参加し、実現を期待する声が数多く寄せられたという。

県次世代交通課の戸川拓司・新技術鉄道担当室長は「DMVに乗って、雄大な太平洋を望みながら周遊観光ができるような運行区間を設定していく」と強調していた。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読