主張町村議会改革  「地方自治とは」考える契機に

公明新聞:2018年3月19日(月)付

町村議会で深刻化している議員のなり手不足をどう解消するか―。

総務省の有識者研究会が、小規模な町村議会などを対象に新たな地方議会制度を提言する。今月中にも報告書をまとめる予定で、政府は早ければ来年の通常国会での地方自治法改正をめざす。

ただ、国主導の改革には「地方分権に逆行する」との指摘もある。政府は研究会の報告を尊重しつつも、反対意見にもよく耳を傾け、慎重に議論を進める必要がある。

研究会は、人口わずか400人の高知県大川村が昨年6月、村議会に代わる「村民総会」の設置を模索する研究を始めたことを受けて発足した。結局、同村の総会設立は見送られたが、過疎化や高齢化を背景にした議会存立の危機は、全国の小規模町村に共通する“宿題”として残った。

実際、2015年の統一地方選を見ても、373町村議選中、2割強の89議会選が無投票となり、うち4議会選が定数割れだった。議員の高齢化も著しく、全国の町村議会における60歳以上の議員の割合は75%を超えている。

こうした実情を受けて、研究会は新たに二類型の議会制度を提案する。

一つは「多数参画型」。議員報酬の抑制などを前提に、自治体と取引がある法人の役員との兼業や、別の自治体職員との兼職を認める。もう一つは少数常勤議員による「集中専門型」。兼業・兼職制限は維持するが、その分、報酬水準を引き上げ、立候補意欲を刺激する。当該自治体は、現行の議会制度も含め、三類型から選ぶことになる。

ただ、これだけで議員のなり手不足が解消するか、疑問は残る。なり手不足の背景には制度的な問題以上に、政治への無関心の増大があるからだ。かつては90%台あった町村議選の投票率も、今や60%台にまで落ち込んでいる。

だとすれば、住民の関心と参加を前提とする「民主主義の学校」としての地方自治をどう取り戻すか、この一点こそが最大の論点でなければならないはずだ。

制度改革を絵に描いた餅としないためにも、研究会提言を機に地方自治のあり方を考える議論の高まりが不可欠なことを指摘しておきたい。

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