主張高齢者の多剤服用 患者に正確な理解促す努力を

公明新聞:2018年3月14日(水)付

食後に何種類もの薬を飲む高齢者は珍しくないだろう。しかし、こうした多剤服用が体に悪影響を及ぼすこともあるから厄介だ。

厚生労働省の有識者会議は、高齢者が医薬品を適正に使うための初の指針案を大筋で了承した。

多剤服用によって引き起こされる転倒や記憶障害、便秘など特徴的な副作用や原因薬を例示し、医師や薬剤師らに不適切な医薬品の中止や減量を求めている。

加齢とともに持病が増えれば、処方される薬は多くなる。厚労省によると、75歳以上の4割が1カ月で5種類以上、4人に1人が7種類以上の薬を処方されている。

心配なのは、多剤服用にはさまざまな弊害が指摘されていることだ。

例えば、処方薬が6種類を超えると副作用のリスクが高まるとの研究結果がある。また、薬の副作用を新たな疾患と診断され別の薬を処方されることが繰り返され、重篤な状態に陥るケースもある。これは、段階的に連なるという意味の英語を使い「処方カスケード」と呼ばれている。

高齢社会が進むほど、こうした事例の増加が予想される。厚労省は指針が確定次第、周知を急いでほしい。

医師や薬剤師が丁寧な説明を心掛けることも欠かせない。高齢者の中には、服用している薬を減らすことに不安を覚える人もいるからだ。

このため指針案では、薬の減量や中止は病状の改善が目的であることについて、患者の理解を促すよう強調している。薬についての正確な情報を伝える努力も求められる。

患者が服用している全ての薬を日常的に把握し、多剤服用の弊害を未然に防ぐ取り組みも必要だ。

この点、指針案が示しているように、1人の患者を継続的かつ総合的に診る「かかりつけ医」の役割は大きい。政府も診療報酬を増額して普及を後押ししている。

一方、患者本人には、薬局でもらえる「お薬手帳」を活用してほしい。薬の処方内容をはじめ、副作用歴やアレルギー歴などを記載することができる。最近ではスマホに情報を保管できる「電子版」も登場している。自助努力も心掛けたい。


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