主張アスベスト被害  患者の実態に即した救済策を

公明新聞:2018年3月13日(火)付

髪の毛の約5000分の1という極細の繊維状の鉱物である石綿(アスベスト)。軽い上に、熱に強く、丈夫なため、断熱材をはじめとする建材などに広く使われていた。

しかし、空中に浮遊しやすく、吸い込むと肺を包む胸膜などにできるがんの一種の中皮腫や、肺がんといった重い病気を引き起こす。

公明党の強力な推進で成立した石綿健康被害救済法が施行されたのは2006年。同法に基づき、石綿を吸って重篤な病気にかかった人のうち、石綿製品の製造工場の周辺で暮らす住民など、労災保険の給付を受けられない人を広く救う制度が始まった。

それから10年以上が過ぎ、同法の救済認定を受けた患者の療養生活がどうなっているのか、環境省が今月5日に公表した調査結果により、初めて明らかになった。これを踏まえた、適切な救済策を講じていくべきだろう。

環境省は、制度の窓口である独立行政法人・環境再生保全機構に委託し、療養中の認定患者1006人と遺族100人を対象に、昨年7月から10月にかけて通院や介護状況などについての初の調査を実施。925人(うち48人は遺族)から回答があった。

特に気になるのは、何らかの介助が必要であると答えた患者は約4割(331人)いるが、要介護認定を「受けている」と答えた人は約2割(158人)にとどまる点だ。

中皮腫は病状の悪化が急激に進行するという。実際、今回の調査結果では、日常生活ができない状態になってから亡くなるまでの期間が、平均でわずか3.9カ月であることも分かった。「要介護認定を申請しても、認定が間に合わず亡くなっているのでは」との分析もある。認定までの手続きの迅速化が求められるのではないか。

また、療養中の人で通院は年平均22回、交通費は年約7万円。死亡者では年平均の通院が54回、交通費は年約12万円だったことも示された。ガーゼやおむつなどの費用がかさんでいるとの回答も多い。石綿健康被害救済法では、認定患者の医療費の自己負担分は公費負担となり、毎月約10万円の療養手当が支払われるが、それで本当に十分なのか検討が必要だろう。

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