主張高齢社会対策大綱 多様な生き方、選べるように

公明新聞:2018年2月24日(土)付

人口減少や少子高齢化が進む日本が、将来にわたり活力を維持するには、高齢者の力が欠かせない。

政府は、高齢社会施策の指針として、おおむね5年ごとに見直している「高齢社会対策大綱」を決定した。今後の法整備などの前提となる。

掲げたのは、年齢に関係なく活躍できる「エイジレス社会」だ。65歳以上を一律に「高齢者」とみなす考え方からの大きな転換である。

確かに、高齢になっても意欲、能力ともに十分な人が増えている。内閣府の調査によると、60歳以上の8割近くが65歳以降も働きたいと答えている。大綱が示した方向性は妥当といえよう。

そこで欠かせないのは、就労環境の整備である。総務省の調査では、実際に65歳を超えて仕事を続ける人は2割にとどまっている。

この点、大綱でも挙げているように、定年や継続雇用を延長する企業への支援、パソコンなど情報通信機器を使い、場所を選ばず働けるテレワークの拡大といった取り組みが欠かせない。柔軟な働き方が可能となるよう、官民挙げて知恵を絞る必要がある。

もちろん高齢者の活躍の舞台は、仕事に限らない。多様な生き方を尊重し、人生の選択肢を広げる手だても重要だ。

モデルとなる事例はある。岡山県総社市の社会福祉協議会は一昨年、「60歳からの人生設計所」を開設。「社会貢献したい」「生きがいが欲しい」など高齢者の希望に応じ、シルバー人材センターや地元企業との橋渡し役となっている。こうした取り組みを広く共有すべきであろう。

高齢者が安心できる福祉社会をどう築くかという視点も忘れてはならない。大綱には、公明党の主張を踏まえ、増加が見込まれる一人暮らし高齢者の生活・福祉面の支援が盛り込まれた。認知症対策、生活困窮者のサポートにも力を入れる必要がある。

原則65歳となっている公的年金の受給開始年齢を、70歳より後にできる制度の検討も大綱には明記された。受給開始を遅くすれば、年金額が上積みされるというものだ。元気なうちは働いて、引退後の収入を増やすという選択が可能になる。これも、超高齢社会に不可欠な論点である。

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