自治体で広がる 結婚新生活支援

公明新聞:2018年2月23日(金)付

少子化や若い世代の人口流出に歯止めをかけようと、工夫を凝らして結婚や新婚生活などを応援する自治体が増えている。政府は2018年度予算案で、こうした自治体を後押しするため、「地域少子化対策重点推進交付金」を倍増、活用を呼び掛けている。群馬県の新婚カップルらを経済的に支援する「ぐんま結婚応援パスポート(通称・コンパス)」事業など先駆的な取り組みを紹介する。

優待パスポートが好評

提示で割引、独自サービス 交付数、1万件を突破 群馬県

ぐんま結婚コンパス 応援パスポート「地域の活性化に貢献できればと思って協賛している。お客様が式場に足を運んでくれるきっかけにもなっている」。こう語るのは、群馬県高崎市の結婚式場「エテルナ高崎」の清水宏之支配人だ。

同式場は、コンパス事業が始まった2016年10月から協賛店舗として参加。成約前にパスポートを提示すれば、結婚披露宴の参加人数によって5万円分の演出か、2万円分のブーケをプレゼントしている。利用者からは「予算上、難しいと思っていたが、希望する演出が実現できてよかった」などの声が寄せられている。

群馬県では、婚姻件数が年々減少し、現在はピーク時の約半分まで落ち込んでいる。未婚化・晩婚化も進む中で、少子化対策として、結婚を応援する雰囲気を地域で高めようと同県が全国で初めて導入したのがコンパス事業だ。

対象は、新婚夫婦や婚姻届を出す前の婚約中のカップルで、どちらかが県内に在住か通勤・通学していることが条件。県内の市町村に婚姻届を提出するか、県に申請書を提出すれば無料でパスポートが交付される。有効期限は婚姻届の提出日から1年で、婚約中の場合は、婚姻届の提出後を含め最長2年間有効となる。

協賛店でパスポートを提示すると、商品代やレンタル衣装代の割引など、店舗ごとの独自の優待サービスを受けることができる。協賛店舗にとっても、県の結婚・子育て応援ポータルサイトで店舗情報をPRできる利点がある。

県議会公明党が強力に導入を推進してきた同事業は現在、協賛店舗数が1087を数えている。パスポート交付数も、1月末時点で延べ1万3351件となった。県の担当者は「事業実施に当たっては、交付金の存在が大きな後押しになった」と話している。

住居や引っ越し費補助 神戸市

神戸市も16年10月から、市内で新婚生活を始める夫婦の住居費や引っ越し費用などを補助する「神戸市結婚新生活支援事業」を開始している。

現在の対象は、夫婦の所得が340万円未満で、17年1月31日から18年3月上旬までに婚姻届を出し、その時の夫婦の合計年齢が70歳以下の夫婦。国の支援事業を活用した上で、市独自に上乗せして最大30万円まで支援する。若者の定住を促す魅力ある街づくりの一環として始め、これまで約250組が利用した。

利用者から「入籍を早めることができ、生活面でも助かって感謝している」との声が寄せられるなど、市は一定の手応えを感じている。

国が交付金で後押し

公明が強力に推進 18年度は予算倍増へ

結婚を希望する人が、行政に実施してほしい取り組み


国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、若者が結婚に踏み切れない理由として「結婚資金」を挙げた割合は、未婚男性(18~34歳)で43.3%、未婚女性(同)で41.9%に上る。また、内閣府の調査では、行政に実施してほしい取り組みとして、「結婚や住宅に対する資金貸与や補助支援」が第3位となっている。

これらの調査結果などを踏まえ、政府は「ニッポン1億総活躍プラン」に基づき、結婚支援や子育て環境の充実を重点的に推進。自治体の取り組みを支援する「地域少子化対策重点推進交付金」について、18年度予算案で前年度5.7億円から10億円へ倍増した。

結婚に伴う負担軽減のため、住居費や引っ越し費用などを補助する「結婚新生活支援事業」は同交付金の柱の一つで、現時点で233自治体が利用している。18年度予算案では、夫婦が共に34歳以下で年間所得合計が340万円未満の世帯を応援。補助の上限額を24万円から30万円に増額(国が2分の1補助)した。

また、結婚応援パスポートや相談・出会いの場の提供など、結婚から子育てまでを地域で応援する機運づくりを支援する事業についても、国が2分の1を補助する。

公明党は、青年委員会が16年に全国で行った政策アンケート「ボイス・アクション」を踏まえ、新婚世帯の支援など青年政策の充実を安倍晋三首相に要請。結婚新生活支援事業を15年度補正予算に初めて盛り込ませるなど、強力に推進してきた。

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