元気な中小企業なくして日本経済の再生なし！　現場の声を支援策に生かそうと、公明党中小企業活性化対策本部（赤羽一嘉本部長＝衆院議員）が東京都墨田区と大阪市でそれぞれ、関係者から期待や要望を聞きました。その様子を伝えるとともに、公明党の主張が反映し、1日に成立した政府の2017年度補正予算や審議中の18年度予算・税制改正案に盛り込まれた支援策を紹介します。

補助金支えに収益増　金属製品加工会社

高木氏　支援策の効果を確認　東京・墨田区

ガシャン、ガシャン――。高木陽介本部長代理（衆院議員）が1日、高橋正利墨田区議と共に、東京都墨田区の株式会社ヨシズミプレスを訪ねると、小気味いい自動プレス機の音が響きわたっていました。

「ものづくり補助金が支えになり、収益は3割ほど増えました」。こう語るのは吉住研専務取締役です。同社は携帯電話のシールド（遮蔽）ケースや自動車精密部品など幅広い金属部品を製作しています。

これまでに、ものづくり補助金を3回活用し、プレス機を中心とした設備投資や新商品の開発を進めています。中でも、昨年5月に交付された補助金は、部品の精密な形状などを正確に測る最新の3次元測定器の導入に活用しました。

吉住専務は「この測定器で得られる正確なデータによって、取引先からの製品への信頼が高まり、仕事の幅が広がりました」と手応えを感じていました。高木氏は「企業の皆さんが元気になると地域も元気になります。これまで推進してきた支援策の効果が実感できます」と述べました。

高木氏は吉住専務らの案内で、34台の自動プレス機が稼働する工場内を視察しながら、公明党が後継者問題に悩む企業への事業承継支援を拡充している取り組みなどを紹介しました。

吉住専務は「行政からの支援が使いやすく、さらに充実すると助かります」と要望。これに対し、高木氏は「地元議員と一体となり、皆さんの声を政策実現へ生かしていきます」と応じていました。

景気回復の恩恵　早く　ガラス用品販売会社

石川氏　商店街の振興に全力　大阪市

訪日客でにぎわう大阪・ミナミ（大阪市中央区難波）の商店街。その一角で約1000種類のガラス用品を取り扱う千田硝子食器株式会社（千田忠司社長）を3日、石川博崇事務局長（参院議員）が訪ねました。杉久武参院議員と川岡栄一大阪府議も同行しました。

千田社長は、市内約1万商店を会員に擁する大阪市商店会総連盟の理事長を務め、訪日客呼び込みに力を入れてきたことを紹介しました。石川氏は18年度税制改正案に盛り込み、19年1月の導入をめざす「国際観光旅客税」に言及。日本人、外国人ともに出国1回につき1000円を徴収し、無料Wi―Fi（ワイファイ）の整備などを行う方針であることを説明し、「商店街の振興をしっかり応援していきます」と述べました。

賃上げをめぐっては、千田社長が「仕事は増えてきたが、利益を出すのも精いっぱい」と景気回復の恩恵が中小企業に十分に及んでいない現状を吐露。杉氏は賃上げや設備投資に積極的な中小企業に対しては国が税制面で優遇する考えを伝えました。

また、石川氏が25年万博の大阪誘致に向けて党を挙げて取り組む決意を語ると、千田社長も「商都・大阪が復権するチャンス。実現へ共に取り組みましょう」と約し合いました。

最後に、千田社長は、非正規社員の正社員化や待遇改善の必要性を指摘し、「公明党に頑張ってもらいたい」と期待を寄せ、石川氏も「現場第一で奔走し、課題解決に全力を挙げます」と語っていました。

17年度補正予算、18年度予算・税制案　公明の主張　大きく反映

中小企業の生産性を向上させるため、国は設備投資を後押しする「ものづくり補助金」、業務効率化や売り上げ向上に役立つIT（情報技術）の導入を支援する「IT導入補助金」を拡充しました。

また、設備投資に積極的な企業には、税制面でも優遇します。具体的には18年度からの3年間、新たな設備投資に対する固定資産税の税率を2分の1から、市町村の判断で最大ゼロにできる制度を創設します。併せて国は固定資産税をゼロにした市町村には、ものづくり補助金などを重点的に配分する方針です。

同じく3年間限定で、賃上げ企業の法人税を減税する「所得拡大促進税制」も拡充します。中小企業の場合、前年度比1.5％以上の賃上げを行えば給与支払い総額増加分の15％分を、さらに2.5％以上の賃上げなどの要件を満たせば25％分をそれぞれ法人税額から差し引けるようにします。

一方、中小企業の代替わりを促す事業承継税制については、今後10年間、承継時の贈与税・相続税の現金支払い負担をゼロにするなど、抜本拡充します。