主張身近な法テラスへ 高齢者やDV被害者にも配慮

公明新聞:2018年1月29日(月)付


生活上のトラブルの中でも特に法律問題はやっかいで戸惑う。素人判断では不安だし、どこに相談すればいいかも分からない。

その時に電話1本で相談先などを教えてくれるのが日本司法支援センター(法テラス)だ。先週からサービスがさらにきめ細かくなった。国民と司法制度をつなぐ身近な総合案内所として本領を発揮してほしい。

新サービスとして、認知機能が不十分な高齢者、障がい者の利用を支援する制度が始まり、また、家庭内暴力(DV)やストーカー(つきまとい)被害の“疑いのある人”の法律相談も受けることができるようになった。

認知機能が不十分な高齢者や障がい者の場合、自身が法的トラブルに遭っているかどうかも理解できない。早期に対応すれば解決が容易であったのに、親族などが気づいた時には多重債務で身動きが取れない状態になっている例もあるという。

このような場合、弁護士と連携している福祉機関の関係者と協力して対応する。例えば、福祉機関で高齢者、障がい者を担当する人が、認知機能が不十分なため権利侵害の恐れがあるにもかかわらず自分で弁護士などの支援を求めることもできない人を発見した時、法テラスに連絡すれば、弁護士がその人の居住場所に出張してその場で法律相談をしてくれる。

法テラスの無料法律相談は、資力の乏しい人に限られるため、本来は事前に資力審査が行われる。しかし、この場合は事前審査をなくして直ちにトラブルの相談に入れるようにした。公平を期すため、資力がある人は後で相談費用が必要になる。

一方、DVなどの相談では、被害の“疑い”がある段階からでも法テラスを利用できる。DV、ストーカー、児童虐待といった犯罪を防ぐには緊急の対応が必要である。恐ろしい思いをしたら、それがストーカー規制法が禁じる行為かどうかが判明していなくても法律相談によって対応策をとることが可能になる。

この場合も、認知機能の不十分な高齢者、障がい者と同様、事前の資力審査はない。

人権保障を担う法テラスの役割に期待したい。

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