事業承継 手厚く後押し

公明新聞:2017年12月15日(金)付

与党 税制改正大綱が決定
給与850万円までは所得税増えず

自民、公明両党は14日、2018年度与党税制改正大綱を決定した。これに先立ち公明党は、税制調査会総会などの合同会議で同大綱を了承した。

2018年度税制改正の骨子所得税改革では、全納税者に適用する基礎控除を現在の38万円から10万円増やし、会社員向けの給与所得控除を一律10万円減額する。控除額の上限も220万円から195万円に引き下げる。この結果、給与収入850万円超の会社員は増税となるが、自営業者やフリーランスは減税となる。

また、賃上げや設備投資に積極的な企業の法人税減税を実施。中小企業の事業承継を後押しするため、受け継いだ株式にかかる相続税を全額猶予する。

たばこ税は8年ぶりに税率を引き上げ、紙巻きたばこは18年から21年にかけて1本当たり3円増税。普及が進む加熱式たばこの増税も併せて行う。観光施策を推進するため、日本からの出国時に徴収する「国際観光旅客税」を19年1月から導入。市町村の森林整備に充てる森林環境税も創設、24年度から個人住民税に年1000円上乗せする。

このほか、各都道府県に配分される地方消費税の配分基準を見直し、多くの自治体では増収となるが、東京都が年1000億円程度の減収となる見通しだ。

平成30年度与党税制改正大綱【PDF】
平成30年度予算編成大綱【PDF】

中小企業支援を強化

寡婦控除 適用拡大へ大きな一歩
斉藤税調会長に聞く

斉藤鉄夫・党税制調査会長(幹事長代行)斉藤鉄夫・党税制調査会長(幹事長代行)に公明党の主張が反映されたポイントを聞いた。 

――18年度の税制改正論議で公明党が強く訴えた点は。

斉藤鉄夫税調会長
中小企業の事業承継税制の思い切った拡充を主張しました。事業の引き継ぎに悩む経営者の声を受け、自社株を後継者に引き継ぐ際の相続税を100%猶予する必要性などを訴え、今回の抜本拡充を勝ち取りました。10年間の時限措置として集中的に行い、経営者の高齢化が進む中小企業の代替わりを支援します。また、事業の引き継ぎが円滑に進むことで、雇用の維持・創出による地域活性化につながることも期待されています。

――このほかは。

斉藤 賃上げを促すため、税制面での優遇措置を求めました。大企業が税の優遇を受けるには3%以上の賃上げが必要となりますが、中小企業は1.5%以上の引き上げで税負担を軽減できます。

――今回は、所得税改革が大きな焦点となりました。

斉藤 働き方の違いによる課税の不公平を解消するため、誰でも受けられる基礎控除を拡大し、会社員向けの給与所得控除を縮小しました。自営業やフリーランスで働く人などは減税となります。一方、所得税の控除見直しで増税となる会社員の給与水準は、当初、年間給与収入が800万円超の世帯と示されていましたが、公明党が中間層に配慮するよう強く求めた結果、850万円超に見直されました。

ただし、850万円超でも22歳以下の子どもや介護が必要な家族がいる約200万人の会社員は増税になりません。これも公明党が勝ち取った大きな成果です。

――配偶者が死亡するなどした世帯の税負担を軽くする寡婦(夫)控除の適用拡大も求めました。

斉藤 公明党は長年にわたり、未婚のひとり親世帯への控除適用を主張。粘り強く自民党と交渉した結果、19年度税制改正で対象拡大を検討し、結論を得ることで合意しました。今後、両党で寡婦控除に関する検討組織を設けて議論します。大きな一歩を踏み出すことができました。

18年度 与党税制改正大綱のポイント

自民、公明の与党両党は14日、2018年度与党税制改正大綱を決定しました。主なポイントを紹介します。

事業承継

株式の相続税納税100%猶予

事業承継税制 拡充の主なポイント中小企業の世代交代を後押しするため、後継者にかかる税負担を軽減する「事業承継税制」を大幅に拡充する。今後10年間の特例措置として事業を引き継ぎやすい環境を整備し、代替わりを加速させるのが狙い。

具体的には、中小企業の株式を受け継いだ場合の相続税について、課税を猶予する割合を現行の80%から100%に拡大。対象は発行済み株式総数の最大3分の2としているが、全株式に広げる。これまでは事業を引き継いでから5年間の平均で8割の雇用を維持することが条件で、達成できなければ全額の納付を求められたが、この要件を緩和して使いやすくする。

現行制度で猶予対象としている「先代経営者から受け継いだ分」「筆頭株主が受け継いだ分」に関しても適用を広げる。例えば、経営者である父親だけでなく、母親からも株式を受け継いだり、筆頭株主だけでなく複数の子どもが相続したりする場合も猶予できるようにする。

廃業時などに支払い義務が発生する猶予分の税負担も実質軽減。受け継いだ時点の株式評価額ではなく、廃業時の評価額で税額を計算できる仕組みを導入する。

子育て

“企業保育所”を後押し

職場で働く従業員のために整備する「企業主導型保育所」の施設や遊具、家具などの設備にかかった費用について、開設から数年間、企業に割り増し償却措置を認める。必要経費の割合を高め、損金を多く計上することで企業の所得が減るため、法人税の軽減効果がある。

政府は待機児童解消に向けて6月に策定した「子育て安心プラン」などを踏まえ、保育の受け皿を2020年度末までに32万人分増やす方針だ。

企業主導型保育所も有効な手だてとして注目されており、税制面で整備をサポートする。

法人税減税

賃上げ、設備投資促す

企業向け税制では、賃上げや設備投資に積極的な企業の法人税減税を実施。大企業では平均給与等支給額を前年度から3%以上増やし、国内への設備投資が当期の減価償却費の9割以上の企業が対象になる。

要件を満たせば給与等支給総額のうち前年度より増えた部分の15%を、支払う法人税から控除。さらに社員研修など、人材投資を過去2年の平均より1.2倍以上に増やした場合は控除率を5%上乗せし、給与増額の20%分を減税する。

中小企業向けはさらに控除率を引き上げる。1.5%以上の賃上げをした場合、前年から給与を増やした分の15%を控除する。さらに賃上げが2.5%以上、人材投資を前期の1.1倍以上に増やすなどした企業は控除率を10%上乗せし25%まで引き上げる。

減税の上限は法人税額の20%とする。

所得税改革

会社員の4%が増税対象

所得税改革では給与所得控除を見直し、負担増となる会社員の年間給与収入を850万円超などとした。

具体的には、全納税者に適用する基礎控除を現在の38万円から10万円増やし、会社員向けの給与所得控除を一律10万円縮小する。控除額の上限も220万円から195万円に引き下げる。この結果、年収850万円超の会社員は増税となるが、自営業者やフリーランスは減税となる。また、22歳以下の子どもや介護が必要な家族がいる約2000万人の会社員は増税の対象外とする。

増税額は年間の給与収入が900万円の場合で年約1万5000円、950万円で約3万円、1000万円では約4万5000円などになる見通し。

増税対象は、会社員や公務員の4%に当たる約230万人で20年1月から実施する。

訪日外国人

消費税の免税枠拡大

訪日客の消費税免税税枠の拡充訪日外国人観光客向けの消費税の免税制度を拡大する。家電製品、洋服などの「一般物品」と、食品、化粧品などの「消耗品」の合算で購入金額が5000円以上あれば免税となる。これまではそれぞれで5000円以上の購入が条件だった。免税対象は計50万円以下。2018年7月から導入する。

また、20年4月から免税手続きを電子化することにした。購入者の氏名や購入品目などの情報をデータで管理し、出国時に税関でパスポートを提示する方式を取り入れる。これまでは購入記録票をパスポートに貼り付け、割り印を受ける必要があり、手続きが煩雑だった。

森林環境、国際観光で新税創設

「森林環境税」と「国際観光旅客税」の二つの新税の創設が決まった。

森林環境税は、地球温暖化対策として市町村が森林を整備・管理する財源に充てるとしている。年1000円を個人住民税に上乗せして徴収し、国が自治体に配分する。年620億円程度の税収が見込まれる。

一方、国際観光旅客税は、観光立国の実現に向けて日本人、外国人に関係なく1人1回の出国につき1000円を航空券代などに上乗せして徴収する。訪日外国人観光客がストレスなく、快適に旅行できる環境の整備などに使う。年400億円程度の税収を見込んでいる。

8年ぶりのたばこ増税は、一般的な紙巻きたばこと火を使わない加熱式たばこで、それぞれ段階的に行う。紙巻きは2018年以降、3回に分けて増税。加熱式は18年から5年連続で増税、新課税方式に移行する。

紙巻きの税額は18年、20年、21年に1円ずつ、計3円引き上げる。20本入り1箱の税額は計60円上がる計算。加熱式は、22年10月まで5回に分けて緩やかなペースで引き上げる。

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