主張海の酸性化 調査・研究で日本はリード役を

公明新聞:2017年12月6日(水)付

地球の面積の7割を占め、私たちの暮らしに豊かな恵みをもたらしてくれる海が、大きな危機に直面している。

気象庁は先月、地球全体の海洋酸性化について、従来の予想より早く進行しているとの調査結果を発表した。

酸性、アルカリ性の指標である水素イオン濃度指数(pH)でみると、海水はpH8.1程度の弱アルカリ性だ。その値が低下することを海洋酸性化という。

気象庁によると、1990年から昨年までのpHの低下が従来の推定より4.5倍も速いペースで進んでいるという。極めて大きな変化である。

まず懸念されるのは、生態系に与える影響だ。アルカリ性が低下すると、貝類や甲殻類、サンゴ礁の成分である炭酸カルシウムが溶け、成長が妨げられる。貝類などを餌とする魚が減る恐れもある。

地球温暖化が加速することも指摘されている。

海水には、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する働きがある。海水の酸性化が進めば、この機能が低下し、CO2の増加に拍車がかかる。海洋酸性化を抑える手だてを急ぐ必要がある。

何より重要なのは、大気中のCO2削減だ。各国は、新たな温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」に基づく温室効果ガスの削減を着実に進めなければならない。

海洋酸性化のメカニズムについては、まだ分かっていない点も多い。各国の研究者らでつくる「全球海洋酸性化観測ネットワーク」の活動を強化するなど、国際社会が協力し科学的知見を結集する取り組みを進めたい。

とりわけ、国土を海に囲まれ、海洋資源に依存する日本にとって海洋酸性化は重大な問題だ。長年積み上げてきた海洋調査の経験を生かし、国際的な研究をリードしてほしい。この点、今回の気象庁の発表が、地球全体の海洋酸性化情報を定期的に更新するという世界初の試みであることを評価したい。

海洋研究開発機構などの調査によると、日本の工業港周辺などで外洋の10倍以上のペースで酸性化している状況が複数確認されている。海に流れ込む汚染物質なども含め、海洋酸性化の原因についても研究を進める必要があろう。

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