iPS細胞作製10年

公明新聞:2017年12月3日(日)付

山本香苗さん山本香苗さん

党再生医療推進PT座長(参院議員)
山本香苗さん

京都大学の山中伸弥教授らが、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製を発表して10年。再生医療や新薬の開発など、実用化に向けた展望を公明党再生医療推進プロジェクトチーム(PT)座長の山本香苗参院議員に聞きました。

■研究はどこまで進んでいるのですか?

■他人のiPS細胞を使った臨床研究も始まり、新薬の開発も加速しています

ロボ 「iPS細胞」って何ですか?

再生医療や新薬に期待 iPS細胞山本 体のあらゆる細胞に変わる能力を持つ万能細胞です。難病の解明や新薬開発のほか、病気やけがで失われた臓器や組織などを回復する“夢の再生医療”への応用に大きな期待が寄せられています【図参照】。

男性 目の難病の患者さんへの移植も行われたそうだね。

山本 今年3月には、世界で初めて他人の細胞からiPS細胞を作製して網膜の細胞に変化させ、滲出型の加齢黄斑変性の患者さんに移植されました。2014年の移植では、患者さん本人の細胞から作ったiPS細胞を用いましたが、今回のケースで再生医療の実用化に一歩近づいたと言えます。

ロボ 新薬の開発はどのように行われているのですか?

山本 難病の患者さんの細胞から作製したiPS細胞を利用して病気を再現し、そこにさまざまな薬を投与して治療薬の候補となるものを見つけていきます。今まで治療法がないとされてきたALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難病を抱えた方々からは、大きな期待が寄せられています。

男性 成果は出ているの?

山本 京都大学などのチームが先月、アルツハイマー型認知症の患者さんからiPS細胞を作り、発症物質を減少させる薬の組み合わせを発見し、ニュースになりました。その他の疾患についても新薬開発に向けた研究は加速しており、今後の成果が待たれるところです。

今年はiPS細胞が持つ「再生医療」と「新薬の開発」という二つの可能性が、大きく前進した1年だったと思います。

■再生医療の実用化へ展望は?

■これからが正念場。「ストック構想」を後押しします

男性 公明党も再生医療の推進に力を入れているね。

山本 iPS細胞などを使った再生医療の進展へ、造血幹細胞移植推進法や再生医療推進法の制定を主導しました。

ロボ 法律のポイントは?

山本 造血幹細胞移植推進法では、公的さい帯血バンクから移植に使われないさい帯血の提供を受け、研究目的で利用できるとの規定を明記。良質なiPS細胞を作ることができるさい帯血を、再生医療に活用するための道を開きました。一方、再生医療推進法も公明党議員の私案を基にしています。iPS細胞などを、再生医療を推進するために安全を確保しつつ、国際競争の中でも迅速に研究を進めるための基盤を構築しました。

男性 実用化に向けた展望は?

山本 iPS細胞を誰でも、いつでも安全に、安く利用できる環境づくりが必要ですが、そのカギを握るのが、山中教授が進めている「iPS細胞ストック構想」です。これは、日本赤十字や公的さい帯血バンクなどと協力し、医療用のiPS細胞を作製・備蓄して医療機関などに提供する仕組みです。

ロボ どれくらい備蓄されているの?

山本 今年中に日本人の約3割に対応する拒絶反応の少ない細胞をカバーできる見通しです。22年までに日本人の大半をカバーする細胞を備蓄するとの計画は国民との約束であり、今後もストック構想を着実に推進します。再生医療の実用化はこれからが正念場。安全性を確保しつつ、一日も早く患者さんに届けられるよう頑張ります。

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