コラム「北斗七星」

公明新聞:2017年11月11日(土)付

あす12日は、ドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデの88回目の誕生日。22年前に亡くなったが、ドイツ児童文学賞を受賞した作品『モモ』をご存じの方も多かろう◆時間泥棒という泥棒が、街中の人々から言葉巧みに時間を盗む。とりとめのないお喋りや、ゆとりある生活を次第に失ってゆく人々。その時間泥棒から、奪われた人々の時間を取り戻す少女の話だ◆彼女の名はモモ。人の話に耳を傾け、自信を取り戻させる不思議な力がある。この物語、忙しさの中で生きることの意味を忘れてしまった人々に対する警鐘、そんな見方もされている◆『モモ』で思い出すのが、長田弘さんの詩『世界はうつくしいと』。詩は<うつくしいものの話をしよう。/いつからだろう。ふと気がつくと、/うつくしいということばを、ためらわず/口にすることを、誰もしなくなった。>と始まる◆<そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。>と続く詩には次のようなくだりがある。<一体、ニュースとよばれる日々の破片が、/わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。/あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。>◆あすは七十二候の地始凍(ちはじめてこおる=大地が凍り始めるの意)。気象や動植物の変化、そして日々の身の回りの出来事を楽しむ毎日でありたい。(六)

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