避難所のトイレ問題解決へ

公明新聞:2017年11月8日(水)付

トイレトレーラーの前で担当者から説明を受ける井出晴美、望月昇の両市議トイレトレーラーの前で担当者から説明を受ける(右から)井出晴美、望月昇の両市議

年度内にトレーラー導入
全国初 他の被災自治体へ派遣も
静岡・富士市

広い空間が確保されたトイレトレーラーの室内静岡県富士市は、災害時の避難所で活用できる水洗トイレを搭載した専用トレーラーを今年度内に購入する方針を決めた。これは、公益社団法人「助けあいジャパン」の災害派遣トイレプロジェクト「みんなのトイレネットワーク」に同市が賛同し、自治体に対する同トレーラー保有の呼び掛けに、全国で初めて応じたもの。ネットワークが広がれば、周辺自治体のトレーラーが被災地に集結し、快適なトイレを提供できる。

水洗トイレ搭載の専用トレーラーは長さ4.2メートル、幅2.4メートル、高さ3.2メートル。けん引車を使って自由に移動でき、被災地に到着後すぐに利用できる。1500回分と大容量の汚水タンクと給水タンクを装備している。

箱形の荷台にはトイレが4つ。いずれも完全個室で被災者のプライバシーや安全、衛生面に配慮している。1室当たり約1.6平方メートルで、小さい子どもも一緒に入れる十分の広さがあり、手洗い場付きの洋式水洗トイレが完備されている。さらにバッテリーやソーラーパネルで電力を供給するので、停電時や夜間でも照明が消える心配がないなど、避難所生活の長期化に対応できる。昨年4月の熊本地震の際には、同トレーラーが本震4日後から72日間にわたって避難所で活躍した。

富士市はこれまで、避難想定人数である2万6666人分の簡易トイレを備蓄・設置してきた。しかし、避難所生活が長期化する場合、簡易トイレでは感染症などの衛生上の問題やストレスの原因にもなりかねないという課題が指摘されていた。これに対し、同トレーラーは、被災者にとって日常生活に近い快適なトイレ環境を提供できることから、市は「みんなのトイレネットワーク」に賛同し、今年7月、全国に先駆けて参加の意向を発表した。

購入に当たって市は、費用の確保に加え、いざという時に自治体同士が助け合う意義を広く市内外に啓発するため、インターネットで出資者を募る「クラウド・ファンディング」を採用。さらに、ふるさと納税制度を使って出資者が税額控除を受けられるようにもした。その結果、企業や個人から73件の応募があり、わずか2カ月で目標額の1000万円を突破できた。トイレトレーラーの費用は1300万円程度必要で、市は引き続き寄付を募集し、不足分は市が負担する。

同トレーラーは平時、防災イベントなどで活用し、市民の防災意識の啓発に役立てていく。

市議会公明党は議会質問や予算要望を通じ、避難所づくりの充実を推進。中でも老朽化したトイレの改善や、女性の視点を生かした支援体制の構築を求めてきた。

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