衆院選から政党政治を考える

公明新聞:2017年10月30日(月)付

一橋大学大学院教授・中北浩爾氏一橋大学大学院教授・中北浩爾氏

公明党の宝は地方組織
“足場なき党”信用できない
一橋大学大学院教授 中北浩爾氏

先の衆院選結果を踏まえ、政党政治のあり方などについて、識者の見解を聞いた。

―先の衆院選では、野党の離合集散が際立った。

中北浩爾・一橋大学大学院教授 民進党の「解党」は、地方組織をはじめ強固な支持基盤を持たない政党がどれだけ脆いかを如実に示した。民進党は逆風になったときに寄って立つものが弱いから突然、身売りしてしまった。しかも、その判断は国会議員だけでなされ、党員や地方議員に全く相談しなかった。政党政治が行き着くところまで劣化したという印象だ。

希望の党も同様だ。急ごしらえの結党だった。政策をやっつけ仕事でこしらえ、役員すら決まっていなかった。当初、政権交代をめざすといったが、仮に勝利を収めても民主党政権よりもひどい結果になったはずだ。まったくの「風任せ」だったから、急激に失速してしまった。

―なぜ地域に足場が必要なのか。

中北 そもそも、足場のない政党は信用できない。堅固な組織がある政党には、政策の一貫性があるし、熟議もある。何よりも苦しい時に支えてくれる地方組織があるからこそ踏ん張れる。国会議員が生き残るために党員や地方議員がいるのではない。

自民党と公明党は野党になっても地域に足場があったからこそ再起でき、政権を奪還した。

―野党は再生できるのか。

中北 まっとうな野党がないと、政党政治は回らない。健全な民主主義のために野党再生は欠かせないが、今回の教訓をどう生かすかが注目される。

例えば、立憲民主党が掲げる「草の根民主主義」の理念をどのように党組織の構築に結び付けるのか。ツイッターで盛り上がっているだけでは、政党とは言えない。ただ、民進党とは別に立憲民主党が地方組織をつくるのは至難の業だ。

―公明党はどうか。

中北 公明党の宝は地方組織だ。それは党員や地方議員とのつながりと言える。増加する無党派層への対策は必要だが、さまざまな党の情報を共有するツールである機関紙も含め、この根っこの部分が大切だ。今回の衆院選でも、その重要性が示されたのではないか。

多くの政党で機関紙や月刊誌が失われつつあり、残すのには大変な労力が必要だ。普段はそのありがたみが伝わりにくいかもしれないが、それがなければ苦しい時に党組織が引き締まらない。公明党は今後も、そうした宝物を大切にしてもらいたい。

公明は弱者の視点貫け

―政党の立ち位置について「保守」「リベラル」という言葉をよく聞くが。

中北 そもそも、「保守」は、米国との協調を重視する意味で使われ、その反対の考え方は「革新」と呼ばれた。一方、日本で「リベラル」は、憲法改正を必ずしも否定しないが、日本国憲法を肯定的に評価し、発展させていくという考え方だ。リベラルという言葉は、55年体制のもと、大平正芳・宮澤喜一の両首相らの宏池会が自らの理念を示すものとして使っていた。自民党の「保守本流」が用いていた言葉なのだから、保守とリベラルは対立する概念ではない。

―公明党の立ち位置は。

中北 「保守リベラル」、すなわち「中道」ということだろう。だからこそ、公明党は中道の立場から安倍政権が右寄りに傾いたら、それにブレーキをかけてもらいたい。また、国民目線、弱者の目線など幅広い視点を政治に反映する役割にも期待している。

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