現地ルポ 生活守り、島の保全へ

公明新聞:2017年9月19日(火)付

福江港の魚市場を視察し、鮮魚の出荷状況を調査する相良市議福江港の魚市場を視察し、鮮魚の出荷状況を調査する相良市議(手前左)

有人国境離島法 施行から半年
鮮魚出荷、その日のうちに
交付金生かし漁業が活気づく
長崎・五島市

人口減少が進む国境離島地域の保全をめざす「有人国境離島法」が、今月で施行から半年を迎え、法律に基づく交付金を活用した取り組みが、全国の有人国境離島で始まっている。このうち、長崎県の五島列島にある福江島(五島市)の福江港では、長崎港(長崎市)向けのフェリーを利用した鮮魚出荷システム「フィッシュロード便」が好調だ。

アジ、イサキ、伊勢エビ……。午前8時、取れたばかりの鮮魚を積んだ始発フェリーが、長崎港へ向け福江港を出航した。「早朝に取れた魚を出荷できるようになり、生産者も仲介業者も大変、喜んでいる」と語るのは、五島市で鮮魚の仲卸や運輸業を営む「株式会社 鯛福」の永田和也社長(30)だ。

長崎市の西約100キロにある五島市は、福江島を中心に11の有人離島があり、漁業が盛んな地域。近海で取れた魚は県内外で評価が高く、以前から「漁獲した魚をその日のうちに取引したい」との声が上がっていた。

しかし、島を巡回して漁獲した魚介類を集める仕組みが整っていなかったため、出荷に時間がかかり、長崎市などで消費されるのは翌日以降だった。その上、船の燃料代など輸送コストの負担がかかるという島ならではの悩みに、漁師や業者は頭を抱えていた。

今年4月に有人国境離島法が施行されたことにより、対象地域では同法に基づく交付金を活用できるようになった。これに伴い、五島市の場合、島民限定でフェリー運賃が低減化され、物流コストの削減が実現するとともに、一般社団法人「五島市物産振興協会」に地域商社としての機能を持たせ、漁獲された魚介類を回収、集荷するシステムを構築し、始発便での本土への出荷が可能になった。県五島振興局地域づくり推進課の境脇淳係長は「今後、輸送手段を航空機まで拡大し、販路を広げていきたい」と意気込みを見せている。

同協会は現在、長崎市内で飲食店や鮮魚販売店などを営む会社と協力し、販売。大西秀樹専務理事は「取引先とのニーズ(要望)が合い、消費者からの評判も上々」と言う。一方で大西専務理事は、出航の1時間前には船に鮮魚を積み込む必要があることから、「協力会社と連携を深め、短時間で集荷と荷積みする体制づくりが現在の課題だ」と語っている。

党対策本部が法整備に尽力

有人国境離島法の制定については、公明党離島振興対策本部(遠山清彦本部長=衆院議員)の各議員らが、全国の離島を訪問して課題を調査するなど、成立に尽力。相良尚彦市議も、国や県の公明党議員と連携して出荷システムの構築に取り組んできた。

有人国境離島法

国境に接する有人国境離島では、人口減少が深刻で無人島化が懸念されている。そこで国は今年4月、定住環境の整備を目的とする有人国境離島法を施行し、8都道県の計71島を「特定有人国境離島地域」に指定した。「社会維持推進交付金」の支給を通じ、フェリーや航空機などの交通運賃の低減化のほか、雇用機会の拡充、滞在型観光事業の創出などを支援する。

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