コラム「北斗七星」

公明新聞:2017年9月14日(木)付

ついに出た。9秒98。陸上男子100メートルで、日本選手が初めて10秒の壁を破った。今か今かと期待が膨らんでいた日本新記録を、桐生祥秀(東洋大)が樹立した◆従来の記録は、1998年に伊東浩司がマークした10秒00。わずか100分の1秒、距離にすれば10センチほど。それでも19年間、この壁は多くのスプリンターに立ちはだかり続けた。桐生は2013年、高校3年生で10秒01を出し“挑戦者”に名乗りを上げると、15年には追い風参考ながら9秒87を記録。「今度こそ」「次こそは」。第一人者として注目を浴びた◆その活躍に促されるように、“新たな力”も台頭。今シーズンだけでも、10秒0台で走った日本選手は他に5人。各国の上位10傑の平均タイムを比べると、世界5位にランクされるという◆着実に選手層の厚さが増す中、今年6月の日本選手権で桐生は、よもやの4位に。この種目で世界選手権の代表入りを逃した。400メートルリレーのメンバーとしては銅メダル獲得の一翼を担ったとはいえ、心中穏やかではなかったことだろう◆そうした状況から、見事に巻き返しての快挙達成。レース後、「やっと世界のスタートに立てた」と。突破口は開かれた。日本の短距離界が、新たな次元で世界と競う時代。その到来を告げる“号砲”を楽しみに待ちたい。(武)

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読