コラム「北斗七星」

公明新聞:2017年9月13日(水)付

古代の中国に「天荒」という地域があった。現在の湖北・湖南省一帯である。官吏すなわち高級官僚の登竜門として唐代に整備された科挙は、超難関の試験として知られた。特に、地方の受験者には狭き門だったらしい。天荒もその一つ◆長い間、合格者の出なかったこの地から、劉蛻という人物が初めて栄冠を手にすると、土地の長官は報奨金として「破天荒銭」を与え、称賛したという。これが、破天荒の語源になることを「漢字ワードボックス」(大修館書店)で知った◆政府の「人生100年時代構想会議」が初会合を開いた。「人づくり革命」の具体策を検討する有識者会議である。一定の年齢で通学、就職、定年を迎える画一的な仕組みから脱却し、起業や転職、学び直しが自由にできる社会に転換するための方策を探る◆ぜひ、長寿社会にふさわしい青写真を描いてほしい。忘れてならないのが地方だ。大都市に比べ、転職や学び直しの環境が十分に整備されているだろうか。科挙のあった中国では、合格者を地方別に採用する制度が模索されたという。家庭の経済状況や出身地域にかかわらず、志があれば誰でも夢溢れる人生を歩むことができるには何が必要か◆従来の発想の延長上では妙案は浮かばないだろう。破天荒な知恵や着想をぶつけ合ってほしい。(明)

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